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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・地震のときに出てくる

石じじいの話です。


じじいは、何度か大きな地震に遭ったそうです。


戦後すぐにも、大きな地震を経験しました。

おそらく、昭和南海地震だったのでしょう。

その地震の時、部落の寺(真言宗)の墓地の墓石が全部、斜めに割れて同じ方向に倒れたそうです。

これは、やってくる地震波の揺れの方向に墓石が動かされて、その根元がぐっと揺れると、その上の部分がその揺れに付いて行かずに墓石の中央部で斜めに割れる、ということでしょう。

当時の、その墓地の墓石は、そのほとんどが寺の裏山の砂岩(石切場がありました)で作られたもので、とても脆いものでした。

多くの墓石が皆同じように割れて同じ方向に倒れているのは奇怪な風景だったとか。

倒れた墓石の修復をじじいは手伝いましたが(さすが石じじい)、その中に、おかしな墓石があったそうです。

その墓石も、みごとに斜めに割れていましたが、その中に空洞があったのです。

墓石の中に空洞などないのが普通ですが、その墓石には球形の空洞がありました。

自然にできたとは思えないような綺麗な形でしたが人の手で作るのは不可能です。なにせ、石の内部ですからね。

さらに不思議だったのは、その空洞から黒い色の液体が漏れ出て、その液が蛇のようにうねって墓地から近くの竹林に伸びていたことです。

竹林の中までは、黒い液体の跡を追跡することはしなかったそうですが、何か墓石から逃げ出して這っていったようだったと。

その墓石はかなり大きな立派なものでしたが、古く無縁で、近くのどの部落にも、その墓に関係する者はいなかったそうです。過去帳にも記載はない。

その墓はその時に取り払われました。

『がいな地震やったで。飛び出そうとしてもうごけんかったわい。そのあとも揺れてな。』

『地震で悪いもんが地面から出てくるゆうて怖がっとる人もおったね。』

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