254/598
石じじいの話・奇石趣味変態列伝4
石じじいの話です。
石変人です。
(1)石が自分のことを見ていると騒ぐ人がいたそうです。
突然、自分の収集している石が、自分を見ていると主張し始めた人がいました。
「ほらっ!石がおれを見ている。にらんでいる!あっ!あいつは微笑みかけている。」
と。
外を歩いていても、石を見ると、「あっ!あの石がおれを見ている。優しそうな眼差しだ!」
あるときは、田んぼのなかにあった、大きな岩を見て、「あっ!あの石がおれを見ている。名残惜しそうな目をしている。」
そして、その岩を自分の家の庭に運ぼうとしてそうです。
家族もまわりの人たちも、必死でとめました。
その田んぼの持ち主は、じゃまな大岩が処分できるので、よろこんだそうですが。
彼は、いろいろな石のスケッチを描いて、そこに、目を描いて、そこからの視線を矢印で書き込んで、他の人に熱心に説明していたそうです。
(2)石と結婚しようとする人がいました。
彼は、婚姻届を作成して役場に提出しました。
書類には、石の名前も印鑑もあったそうです。
役場が届け不受理。
彼の愛は実りませんでした。




