石じじいの話・奇石趣味変態列伝
石じじいの話です。
石集めが趣味の人には、変な人が多かったと、じじいは話していました。
「じいちゃんも、そのひとりやないんかっ!」と、こども心につっこんだのをおぼえています。
異常な執着心がそうさせるのか?そういう変人だから執着するのか?
こんな人がいたそうです。
(1)石を抱いて寝る人
いつも、布団のなかに、その「愛する」石を入れて一緒に寝ていたそうです。
その人によると、その石と一緒に寝ていると、冬はほかほかと暖かく、すこやかな眠りを経験できるのだ。
そこに、「彼女」の愛を感じる、と。
そう、その人は男性だったのです。
その人は、まだ若く、結婚していました。
今、私がじじいになって考えると、XXXの時、石はどうしていたのでしょうか?
(2)石と一緒にお風呂に入る人
これは、石と一緒に寝る人とは別人です。
いつも、一緒に風呂に入る人がいました。
いっしょに、湯船に使って、その石を大事そうに石鹸で洗ってやっていたそうです。
その石と一緒に湯船に入ると健康になる、というようなことはなく、純粋に愛情の発露だったようです。
つまり、功利主義ではなく愛だったと。
その人は、中年の男性で、奥さんを病気で亡くしていました。
奥さんの病没が、彼の奇行(と言ったら失礼でしょうか)の原因になったかどうかは不明です。
(3)石にご飯をあげる人
毎食、石にご飯をあげる人なのですが、いつも食事を石と共にし、楽しそうに歓談しながら美味しそうにご飯をたべていたそうです。
石と。
石には、たべものに好き嫌いがあるようで、石が嫌いなおかずが出されたときは、その男性は、奥さんに文句をいったそうです。
しつけのなっていない石です。
その男性には、たべものの好き嫌いはまったくなかったのですが。
あまりにも、食べ物にうるさい「グルメ」石に我慢のならなくなった奥さんは、ある晩ごはんのとき、その石をつかんで、座敷への小上がり石の上に放り投げ、かなづちでおもいっきり叩いて粉砕してしまったのです。
奥さん、グッジョブです。
その男性は、驚愕して茫然自失の状態になりましたが、奥さんを責めることはありませんでした。
落胆して、口をきかなくなった彼は、その夜は、早めに床につきました。
翌朝、彼は、いつもと同じように起きて、その石について触れることもなく、石など存在しなかったように、普通に、家人ともなかよく暮らしたそうです。
まったく、異常行動もなく、真面目で幸せな人生だったとか。
すくなくとも、じじいが見守っている間は。
その石は、じじいが山で採集して、彼に売りつけた石だったので、じじいもとても心配したそうです。
じじい!あんたが、そがいな原因つくったんやないかなっ!
石変態たちは、まだ、そくぞく登場します。




