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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・もどってくる弟たちと一家団欒

石じじいの話です。


日本での話です。

死んだ弟が姉のところを訪れることがあったそうです。

これは、よくある怪談話です。

ある日、姉が部屋で一人で裁縫をしていると、一年前に死んだ弟が現れました。

弟は、姉に、その服は誰ものものか?と尋ねたそうです。

姉は、「お前は死んだのではないか?」と言うと、弟は消えました。

彼女は、このことを母親に伝えましたが、当然、母親は彼女の言うことを信じませんでした。

父親はすでに亡くなっていました。

姉が、弟にまた会いたいなと思っていると、弟は現れました。

懐かしく思い、いろいろな話をしていると、話の途中で消えてしまいます。

その話をしている時、弟が消える前に、彼女は、先に死んだ姉にも会いたいと弟に伝えました。

次の週に、弟は、先に死んだ姉を連れて彼女の前に現れたそうです。

その後、弟と死んだ姉は、日曜の午後に現れるようになりました。

その他の日には現れません。

母親と一緒に、彼らを待ち受けていたら、彼らはやってきました。

これで、母親も、信じるようになったのです。

弟といっしょに戻ってきた、その死んだ姉は、得意な箏を奏でて見せたそうです。

生前と変わらぬ、しっかりとした演奏だっということです。

母親や、生きている姉が、霊界のこと、あの世のことを尋ねても、弟も姉も答えなかったそうです。

もどってくる弟や姉の服装は死ぬ前のもので、死装束ではありませんでした。

彼らの身体は薄ぼんやりしていて、まるで幻燈のようだったといいます。

食べ物を与えても飲食はしませんでした。

現れる時間は、一度にせいぜい半時間でした。

一緒に写真を撮影したらどうだろうかと考えたそうですが、そのようなカメラはない時代だったし、他人に頼んで、このことが知られると騒ぎになるのではないかと心配して、思いとどまりました。

自分たちの「一家団欒」を壊されたくなかったのでしょう。

その後、この幽霊姉弟の来訪に、家族の全員はすっかり慣れ親しんで、楽しい生活をしたということです。

この姉弟は、母や他の兄弟姉妹を想う執念から現れたのだろうということでした。


この後の顛末については、私の聞き取りノートには見つかりませんでした。

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