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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・病を吸いとってくれる石

石じじいの話です。


病を治癒してくれる石があったそうです。

その石は、青白く、表面がなめらかで、円盤型で対称形でした。

完全な「回転対称形」ではなかったのですが、碁石のような形でした。

じじいは、最初見た時、プラスチックかとも思ったそうですが、しらべるとそうではない。

おそらく大理石ではないか?ということでした。

直径は3センチほど、厚さは中心部で1センチの小さい石でした。

この石を、身体の悪い部位に絆創膏で貼り付ける。

すると、内臓系の病なら一月ほどで治るし、外傷でも程度に応じてだが、治癒は早い。

本当に治る。

内臓の病気なら、その位置の体の部位に貼る。

精神の病なら、頭に貼り付ける。

病が治ったら、石を剥がしてきれいに洗ってしまっておくと、再利用が可能だ。

これは便利な石です。


このような石なら、めずらしくはありません。

病を癒やす石など、よくある話です。

しかし、この石は、他とは少し違っていました。

まず、この石は、その石を代々所有している家系の人にしか効力がない。

つまり、持ち主とその血族以外には効果がないのです。

もう一つの変わった特徴とは:

その石を使って病を癒やすと、何代か後の子孫が、石で治癒した同じ病を発病するのです。

その世代は大丈夫だが、早ければ次の代に、それが発病するのです。

つまり、この石によって病が消え去るのではなく、次世代以降に先送りされるのです。

果たして、これは、良いことなのでしょうか?

まあ、この石を上手に使えば、その家系が途絶えるようなことは起きないから、わざわざ石を捨てることはないだろうと、その家の人たちは考えていました。

その石を捨てるのは、もったいないとも考えました。

思い切って捨ててもいいのだが、もし、捨てても今まで石に治癒させた病が次の世代以降に起き続けたらどうする?

先送りしてきた病が次世代以降に発病することは予期されるとしても、もし、呪いのようなものがあって、子々孫々にえんえんと病がもたらされるかもしれない。

もしそうなれば、あるていど役に立つ石なのに、捨て損じゃないか。

それに、その石がのちの世代の病(禍)の元凶なら、それを捨て失ってしまうと、その禍の根幹を断つことができなくなるのではないか?

現物が無いと、お祓いもできないだろう。

だから、その家系で保持しよう。

ということで、その家系は石を保持し続けていたのだそうです。


では、ある世代で、子供を作らず、その代で、その家系を絶やしたらどうか?

そうすれば、その石の呪い?がとけるのでは?

本末転倒です。

だいいち、その家系が絶えてしまったら、それが一番の不幸、禍ではないか!

これは、昔の家が大事という価値観です。

血筋が絶えてしまうのはもってのほかで、そうなってしまうと、その石を使って代々病を治して、次世代に病をさきおくりにしてきたかいがないというものだ。

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