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石じじいの話・北極圏の生活:霊魂を招く儀式
石じじいの話です。
これは、じじいが朝鮮で知り合ったロシア人から聞いた話です。
ロシアの北極圏には、ロシア人とは異なった民族が住んでいました。
その人たちの風習です。
といっても、北極圏には、さまざまな民族が分布しているので、どの民族のものなのかは不明です。
その人々には、七月の夜に亡霊(霊魂)を招く儀式があったそうです。
日本の盂蘭盆会のようです。
その時は、家中を明るくして食卓に覆いをかけて、二本の灯明の間に品質の良い酒を供えておきます。
それと同時に、招いた霊魂がおよぼす災厄を恐れて、窓に窓掛をもうけておくのだそうです。
そうすると、霊魂による災厄を避けることができるのだと。
そのときには、夕暮れに灯火を灯さないで外出することはないのだそうです。
また、墓場で灯火をたくこともありました。
これまた、盂蘭盆会のようです。
彼らは、霊魂の禍いを防ぐためには灯りが必要だと考えていたそうです。




