石じじいの話・気合だ!
石じじいの話です。
じじいは、石探しの旅の途中で、いろいろな人に出会いました。そのなかでは、修験者や仙人(?)もいたそうです。
そのような人物の幾人かについては、以前話を書いたことがあります。
」剣山の仙人」や「海岸に住む浦島太郎」などについての話です。
じじいは、彼らから、その秘術(?)の修得方法を学んだこともありました。
じじいは、それを信じてはいませんでしたが、興味深い話です。
いくつか書いてみましょう。
泳いでいる魚を睨んで動けなくすることができる人がいたそうです。
その人が睨むと、泳いでいた魚が動かなくなる。魚は浮いてくるので、捕まえるのです。
漁猟に便利な術でした。
これを使う人によると:
精神統一し気を集中して、その魚を睨むことによって魚を動けなくするのだ。
これを、気合を掛ける、という。
他の動物についても、これはできるらしいのですが、動物には、それぞれ異なった性質があるので、対象となる動物の種類ごとに、やり方を研究しないといけないのだとか。
鶏、蛇、アリ、ウマ、カエルには、この術が通用するとのことでした。
精神集中の方法は色々あるらしいのですが、ある術者がじじいに説明した方法は以下のとおりです。
座禅をくみ、目を軽く閉じる。
腹式呼吸を5, 6回おこない、次に胸式呼吸を数十回行う。
このとき、呼吸に心を集中して雑念をはらって無念無想の境地に入る。
これで、集中することができるのですが、このあと、体の治療も可能だったそうです。
こうしておいて、自分の希望すること(つまり、病や怪我を治すこと)を思いうかべるのです。
そして、両手で合掌すれば、その手は本人が意識することなく自然に動き始めて、患部を叩き始めます。それで、その部分の病は治癒したそうです。
一種の自己催眠のようなものでしょう。
「こがいなことで、ひとの体がなおるんやったら、医者や衛生兵はいらんわいねぇ。まあ、
さいごの神頼みゆうことやろうね。」とじじい。
さらに、たいへんな修行をすることによって、指先からラジウムが放射され?それで病を治すことができるようになることもあったそうです。
この術を修得するためには、ある特別な呼吸法、統一法、霊動法*をおこなうのだということでした。
*なんだか、錬金術のために賢者の石が必要だ:という話みたいです。




