石じじいの話・さまざまな一族、犬神憑きなど
この話に差別的な意味合いはありません。
日本のみならず、世界各地にはいろいろな家系(血縁関係をもつ一族)があるようです。
これまでも、それについて、いくつかの話をしてきましたが、ここで、もう少し、家系の話を。
(1) 犬神を祀る*。ある部落では、犬神を祀っていました。
その部落には、犬に関する禁忌や災いの話がいろいろあったそうです。
曰く:
犬の肉を食べない。
犬の皮を防寒に用いない。
犬の皮の服を着た旅人を家に泊めない。
犬の皮の服を着ているきこりが焼死した。
犬の皮の防寒衣類を着て戦争に行ったら死んだ。
犬の皮を敷物にしたら、尻が針で刺されるように痛んだ。
など。
(2) 犬神を井戸の中に飼う。
犬神は、人に憑くのですが、相手の皮膚から筋肉を破って体の中に入って殺すこともあったそうです。
呪いというか、直接的な災厄です。
犬神は、その使い方を誤ると、その筋の人間も殺されました。
そのため、それを持て余して、取り払いたいと考える犬神筋もいたそうです。
犬神は、熱湯をかけると退治することができるらしいのですが、それに失敗すると反撃されて、一族の多くが殺されたのです。
犬神を井戸の中に飼っている一族もあり、その場合は、犬神を井戸から呼び出し、それが出てきたときに熱湯をかけて退治するのだそうです。
犬神は、人に憑くときには、自分の毛皮を脱ぎ、その中身だけが憑くということもありました。
その時、その中身のない毛皮を持ち去ると、犬神は帰る先を失うので怒り狂い、それまで憑いていた人の一家を全滅させるのだそうです。
中国の「飛頭蛮」のようです。
犬神は、その家系の女性にのみ従属するのだそうです。
その一族に女の子が生まれると、犬神は増殖して、増えた一頭がその女の子に付く。
女性が嫁に行くと、それに犬神は付いていくのだそうです。
(3) ある一族には、全員の脇腹に星型のアザがあり、これが遺伝したそうです。
彼らが言うには、我々は星の子孫だ。つまり、ある星からやってきた者たちの子孫だ、と。
戦前の話ですが、当時も、天文学の知識はあったのでしょうから、この考えはオーパーツ的とは言えないでしょう。
*犬神憑きの話は、これまでもいろいろと書きました。
石じじいの故郷の犬神憑きの風習は、現在ではまったく絶えていて存在しません。
この話は、差別を助長する目的で書かれたものではありません。
この話で使用されている「部落」は、「集落」という意味です。
石じじいの故郷では、その単語が普通に使われていました。