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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・森の歌い手

石じじいの話です。


彼が、石探しのために山中を歩いていたときのことです。

夕方で、森の中は暗くなっていて、ちょっと怖い雰囲気です。

彼は気を紛らわせるために歌い始めました。

のりの良い明るい曲ということで、まずは、「国境の町」

「橇の鈴さえ寂しく響く、雪の曠野よ町の灯よ」

するとどこからともなく男性の声が唱和し始めたそうです。

じじいが驚いて、歌うのをやめたら、向こうもやめます。

山道を走って逃げるわけにもいかず、石を割るときに使うハンマーの長い柄をぐっと握りしめて歩を進めました。

彼は、怖いのを我慢して歌うことにしました。

歌っていないと、その「者」がやって来るかもしれないと思ったのです。

じじいは、覚悟を決めました。

よし!次は朝鮮の歌だ!これは歌えないだろう!「봉선화(鳳仙花)」

「어언간에 여름가고、가을바람 솔솔 부니」

しかし、声は唱和してきました。しかも人数が増えている。男声の斉唱になっています。

じじいは怖かったのですが、ぐっとこらえて続けました。

「아름다운 꽃송이를、모질게도 침노하니 」

森の中からの唱和は続きます。しかも女性の声も混じってきました。

「・・・네모양이 처량하다」

唱和する声は、大人数になってきました。

これでは、やつらに圧倒されてしまう。

くそっ!負けるか!

よし!ロシアの歌だ。元気がでるぞ。「Три Танкиста(三人の戦車兵)」

「На границе тучи ходят хмуро, Край суровый тишиной объят.」

どうだ!これは歌えまい!

すると、それにあわせて男性の独唱がはじまりました。

バリトンのすばらしい歌唱です。

じじいはひらきなおって、日本の歌、朝鮮の歌、朝鮮のロシア人の友人から教えてもらったロシアの歌を歌い続けたそうです。

何曲か歌っていると、森の唱和はだんだん途切れてきました。

よし!やつらも飽きてきたな!知らない曲もあるんだな!とじじいは心強く感じたそうです。

そのうち、唱和はやみました。

じじいは、ほっとして立ち止まりました。

すると、まわりの森で、じじいをとりまいて拍手が起きたそうです。

石じじは戦争中、朝鮮に住んでいました。

そこで、ソ連から亡命(?)してきたロシア人たちと知り合い、いろいろな話を聞いたそうです。

これについては、別の場所で、それらの話を書いたことがあります。

ネットで「石じじいの話」を検索してみてください。

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