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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・肺病に効く

石じじいの話です。


昔は、肺結核は「不治の病」とも呼ばれる恐ろしい病気でした。

現在では、容易に治療でき・完治する病気です。

しかし、現在でも日本では患者は少なくなく、罹患率は欧米先進国よりも3倍以上も高いということです。


日本における肺病を治癒させるまじないとは:

人の墓にある卒塔婆を削ってそのカスを持ってきて、それを少し煎じて飲ます。

また、削ったものの半分ほどを紙に包んで、病人に知られないように寝床の下へ入れておき一晩おいて翌朝、また病人に知られないように取り出してそれを川に流す。

4日間、これを病人に知られないように繰り返すと病は治る。

治癒したときは、新しい卒塔婆を寺に頼んで、削った卒塔婆の代わりに立てて、削った古い卒塔婆は川に流す。

これは、自殺行為です。

昔は、何でも川に流していました。

生ゴミも捨てることもありました。

同じ川で作物を洗い、洗濯していたのですが。


じじいが満蒙を旅したとき、蒙古人の(ゲル)を訪れたことがありました。

そのとき、その家の主人が常にひどい咳をしていたそうです。

これは結核ではないか?とじじいは思いましたが近くに医師はおらず、治療と言ってもラマ僧による呪術しか頼るものがない、という状況です。

じじいが暗澹な気持ちになっていると、同行していた現地の案内人(蒙古人)がその病人に言うには、「犬の肉をたべなさい。犬の肉は肺の病に効くのだ」と。

犬は、蒙古の遊牧民は身近なものだったので、肉を得るのは難しくはなかったでしょう。

じじいによると、犬の肉が肺の病に効くという話は、ここだけではなく、満州人や朝鮮人それに日本人からも(日本に帰ってきたあとに)聞いたことがある、ということでした。

この話をしてくれたとき、「今やったら、助かる人もようけおったろうがのう。」とじじいは寂しそうに言いました*。

*これは、あとで知ることになるのですが、じじいは朝鮮にいたときに「大事な人」を肺結核で失っていた(あるいは失うことは確実の状況だった)のです。

この話は、別の機会に。

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