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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・魔女の爪

石じじいの話です。


石じじいは、めずらしい岩石や鉱物、化石を集めて売って生計を立てていたのですが、他にもいろいろなものを収集していました。

収集癖があったのでしょう。

好奇心が旺盛で探究心をもつ人でした。

彼は、旅の途中で知り合った人々から、いろいろな変わったものをもらっていました。

以前、「この世界の終わりが近づくにつれて表面が黒くなっていく石」の話を書いたことがあります。それは、朝鮮の呪術者から譲り受けたものでした。


そのような貰い物の話です。

じじいは朝鮮で「魔女」に会ったそうです。

巫師のような土俗的なものではなく、まさに魔女です。

自分を朝鮮や日本、支那(ママ)のような宗教呪術者というわけではなく、魔法を使うのだと彼女は強調していたそうです。

彼女が言うには:

私は、自分は人を呪い殺すような事はできないが、人の病を治癒することができるのだ。

肉体的な病のみならず精神的な病も治癒できる。

もちろん、この術は誰もができるものではなく、朝鮮や日本の呪術者にもない術だろう。

この魔法は、宗教とはまったく関係がない。

強いて言えば、基督教と関係があるのかもしれないが、魔法の基盤となるような「ストイックな精神的な教義」は存在しないのだ。

彼女は、まったく血縁のない流れ者の魔女からその魔術を教わったそうです。

その師匠魔女は、ロシア人との混血(ママ)で、捨て子だったということです。

そして、じじいと知り合ったその魔女も捨て子でした。

孤児(ママ)の彼女を、その師匠魔女が引きとって育ててくれたのです。

師匠魔女が弟子である彼女に言うには:

「私のような魔女は、もう、この世の中には必要とされない。お前が最初で最後のただ一人の弟子だ。おまえは素質があるから、私よりも優れた魔女になるだろうが、おまえの魔女としての立場はこれからは良くはなるまいから、魔女であることを隠して弟子もとらず一生を終えるのがいいかもしれないな。もし不用意に弟子をとってしまうと、その術は必ず外部に漏れ出てしまうものだ。」

「私はもう弟子も持つつもりはない、これで何百年も続いた魔女の系統(血縁関係は無いのです)も終わりだ」と、その魔女はじじいに寂しそうに言ったそうです。

彼女とじじいは仲良くなったのですが、彼女に魔法をかけてもらうことはなかったようです。

あるいは、魔法をかけてもらったが黙っていたのかもしれませんけど。

じじいと別れるとき、その魔女は「自分の爪」をじじいにくれたそうです。

彼女が言うには:

これは、私の爪だが「魔力」がある。今から30年ほどたつと、この爪は強い薬効を持つのだ。。

死人を生き返させるなどということはできないが、重篤な病でも少量で治癒できるだろう。

もちろん外傷も治せるが、大きな怪我による出血多量などは治癒できないからそのつもりで。

大事に持っておくと、あなたのためになるかもしれない。

べつに、いやなら捨てても良い。

強い薬効を持つようになったら硬くなっているだろうから、それを粉にして飲むなり傷口に塗ると良い。

ただし、酒と一緒に飲むな。酒に溶かすな。

とのこと。

この爪は捨ててしまってもよかったのですが、なんとなく日本まで持ってきて保管してしまったというのです。


この魔女の爪、じじい箱の中を探していると出てきました*。

箱から爪が出てきて、一緒にあったじじいのメモから、それに関係するであろう話を聞き取りノートから探してきた:というのが実際なのですが。

以下が、この爪の画像です。

https://i.imgur.com/s5XLYWw.jpeg


どうしたものでしょうか?飲んでみるべきでしょうか?

別に身体には悪いところもないのですが・・・。


*この爪がそのまま残っているということは、じじいは、これを薬として使わなかったのでしょう。

もし使っていれば、じじいも病気ですぐに死ぬことはなかったかもしれません。

彼の死については、「じじいの最期」という文を書いたことがあります。

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