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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・女の頭骨

石じじいの話です。


じじいは、石探しの旅の途中、中国地方のある温泉旅館に宿泊しました。

その旅館には、人間の頭骨が一つ保管されていたそうです。

興味をもって由来を尋ねるじじいに、そこの主人が言うには:

戦前、この旅館の近くの道路をつくったときに石灰岩の丘を掘ったが、そのときに出土した。

石灰岩の中にできた小規模な鍾乳洞を自然に埋積した土砂のなかに含まれていたようだ*。

これは北京原人のような古人類の化石ではないかということで、大学の医学部に送って鑑定してもらった。

その結果は:

これは現代人の頭骨だが古いもので、江戸時代かあるいは鎌倉時代まで時代がさかのぼるかもしれない。

三十歳くらいの女性のものである。


発見された骨はこの頭骨だけであり、体の他の部位は出土しななかったそうです。

じじいがその頭骨をよく調べると、後頭部に硬い鋭いものでつけられたと思われる傷がありました。また、右の耳の下にいくつかの深い刀傷がありました。

この女性は斬り殺されて、首を斬られて**、それだけが鍾乳洞の中に捨てられたのではないか?というのが、じじいの解釈でした。

大昔の湯治客なのか?旅人だったのか?

その旅館には、鎌倉時代の刀というものも飾ってありました。

「おいおい、この刀であの女を斬り殺したんじゃないだろうな?」と、みんなで笑っていたそうです。

*石灰岩洞窟から出土した化石人骨は、三ヶ日人が有名です。

1958年、静岡県の三ヶ日町只木の石灰岩採石場で発見された旧石器人(ホモ・サピエンス=現生人類)の化石です。

七個の人骨で、いくつかの頭骨の破片の他に腸骨や大腿骨があり、男性が2体、女性が1体の計3体分の骨でした。彼らの身長は150cm程度ということです。

(鈴木尚・高井冬二他「三ケ日人と三ケ日只木石灰岩採石場の含化石層」『人類学雑誌』第七十巻第一号、による情報です。)

**日本刀で首を切り落とすには、第1頚椎と第2頚椎との間を切断するのだそうです。

第1頚椎は環椎とよばれ、第2頚椎は軸椎とよばれます。この2つの頚椎の間の骨どうしの関節はゆるく、ここが頭部の回転運動の中心となるのです。

ここに刃をいれると、容易に首を切断できるのだそうです。

首斬り浅右衛門のテクニックですね。

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