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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・伝染する悪

石じじいの話です。


悪が伝染することがあったそうです。

あるいは、「狂気が伝染する」とか。

殺人などを起こす粗暴で倫理観の乏しい人物がいたのですが、それに親しく接していた人間も凶暴になったそうです。

別に、彼らの人間関係のなかで影響を受けたというわけではなかったようです。

人々は、それを、「悪が伝染する」とか「狂気が伝染する」と呼んでいました。

あるところに、粗暴な男性がいました。彼は、非常に短気であり自分勝手な人でしたが、裕福な家の若主人でした。

彼は、夜な夜な暴れていました。

家人に暴力を振るうのです。

ボケ(今の認知症)が始まっているのではないかとも思われましたが、ボケてしまうには若すぎる。

別の精神障害かもしれないので、脳病院(ママ)で診てもらおうということになりました。

その日も彼は暴れるので、家人は、彼を縛って寝かせました。

すると、同じ家で眠っていた彼の妻も凶暴化しました。

彼女は、親にも子どもにも暴力をふるうようになりました。

突然発狂したように見えたそうです。

その妻も縛って寝かせることにしました。

すると、その子どもが発狂しました。

非常に暴力的になり、斧で両親を斬り殺してしまったのです。

また、同時に、発狂した夫婦の見張りをしていた親戚の女性も発狂し、自分の家族を殺害しました。

この家で発生した「狂気の伝染」は恐れられました。

狂った人に接する警官や医師たちも、このことをたいそう気にしたのですが、彼らの仕事なのでしかたがない。

それに、死体となってしまえば、そこから狂気が伝染することはないだろうと考えたのです。

しかし、この発狂事件を調べた警察官1名が発狂して同僚に暴行しました。

自宅にあった日本刀を警察署に持ち込み、それで同僚に斬りかかり傷を負わせたのです。


さて、これは、本当に狂気の伝染だったのか?

この伝染現象にかこつけた、関係者間の恨みによる殺人なのではと考えた警察関係者もいたそうですが、そのような証拠は見つけられませんでした。

天狗憑きか狐憑きではないかと噂する人もいたそうです。

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