石じじいの話・別種の人魚
石じじいの話です。
人魚についての話は、以前にもいろいろと紹介しました。
北海道の海で、人魚が漁師の網にかかって殴り殺されるときに、叫び声をあげたという話がありました。
「人魚」と一般に言われるような生物には、いくつかの「種」があったようです*。
髪の毛のかわりに棘が生えている種類もいたそうです。
ある日、そのような生物が、砂浜に打ち上げられました。
弱って、ぐったりとしていたので、海に逃がすために、ソレの両腕をとって波打ち際までひきずっていくと、それは自力で這って海に入りました。
頭を水面から出し入れしながら、しばらく海面を漂っていたソレは、水面から勢いよく上半身を出して、片腕を高く掲げて、「おーっ」と叫んで海中に没したそうです。
半人半魚型のソレには、乳房や乳頭、へそもなく、体毛もウロコもなかったようで、肌はウナギのようだったといいます。
しかし、眼や外鼻孔、口はあり、表情もあって、顔つきから男女の性別もあるように見えたそうです。
その地方では、「人魚」とは呼ばれず、「魚女」、「女魚」、「海乞食」などと呼ばれていたようです。
*世界各地の海で見られる「人魚(魚型ヒト)」が、共通の祖先から由来・種分化したという証拠は無いのですが。




