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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・カレリア人の女呪術者

石じじいの話です。


これは、朝鮮で知りあったロシア人がじじいに話してくれたものです。


呪いについての話を。

ロシアの邪視や呪術についての話を、別に書いたことがあります。

日本でも、犬神憑きなどの呪術について紹介しました。

じじいの故郷は、犬神憑きの本場でしたからね。


じじいの知りあいのロシア人がモスクワに住んでいたときに、カレリア人の女性から呪術の話を聞いたことがありました。

彼女は、自分が魔女(カルドンあるいはカルドゥン?)と称していたそうです。

彼女によると、人を呪い殺すには、なにかを「介して」行うのだということです。

たとえば、塩、砂糖、水、卵、蝋燭などを使います。

これらは、呪いを吸収して、保存する性質を持っているのだと。

呪文を唱えることによって、これらに呪詛の念(力)を込めるのです。

そして、呪いを込めた食べ物や飲み物を相手の口に入れさせることで病や不幸をもたらすのです。

水のような液体なら、呪いの効果(呪いの力の保存期間)は1週間ほどもつ*。

砂糖や塩のような水溶性の固体なら、一ヶ月ほどもつ。

蝋なら半年以上もつ。

これらの物に呪いをこめるため呪文を唱えるときには、いろいろと規定がありました。

それらは:

・呪文を唱えるべき時

・場所

・方角

・何に向かって唱えるか

・唱える回数

・その際の声色

・呪文に伴う所作

・その時の禁忌

などです。

呪文は、その呪術者の跡継ぎにのみ伝えられました。

呪術者が死ぬときに後継者にそっと教えられたのです。

それゆえ、呪術者が死ぬときに意識があり、後継者に呪文を正確に伝えてくれないと、呪術者の後継者は育たないのです。


そのカレリア人の女呪術者は、悪をもたらすだけでなく、病人の治療も呪術で行うことができると吹聴していました。

しかし、そのような「良い行い」を呪術で行うのは稀だとということでした。

やはり、悪い行為のほうが良い行為よりもたやすく、また、その効果(結果)は大きいということでしょう。

治癒の呪文を込めた水を病人に飲ませて回復させるのですが、その時、悪いものは、患者の左肩から出ていくのだそうです。

また、サウナ(蒸し風呂=バーニャ)に入ると体内に入った呪いが体外に出るということもあったと**。

さらに、呪いのかかった家を浄化したり、不幸から人を防御する方法もあるのだとか。


彼女は邪視の力は持っていなかったようですが、彼女によると、邪視は、視線の磁力だということでした***。

呪術者のなかには、一瞥しただけで人を発狂させる力を持った者もいたそうです。

*インチキ治療であるホメオパシーのようです。

**一時流行ったデトックスのようですね。

これも、医学的根拠は無いのですが。

***メスメリズム(動物磁気催眠術)のようです。

どうも、心霊的でもあり唯物論的でもあります。

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