石じじいの話・ロシアの生霊
以前、ロシアに「邪視」を持った少年がいて、彼は、自分の村からシベリア、バイカル湖方面に逃げ去ったという話を書いたことがあります。
「邪視」は、その持ち主に、対象となる人(つまり見つける相手)に対する怨念や悪感情が無くても、自分の不満や羞恥心、その人に対する羨望や嫉妬心を心のなかに思い浮かべると、その人に祟りをなすのだそうです。
日本の犬神憑きに似ています。
石じじいの話です。
これは、朝鮮にいたときに、知り合いのロシア人から聞いた話です。
そのロシア人が言うには:
人が眠っている時に、魂が蝿となって、鼻の穴から出ていくことがあるのだそうです。
また、ハチになって、口から出ていくこともあるのだとか。
このように、本人が眠っている間に魂が体外に出ることがあるので、眠っている人に悪さをしてはいけないのだそうです。
眠っている人の顔に文字や線などを描いてはいけない。
そうすると、戻ってきた魂が自分の体を見つけられなくて去ってしまう。
すると、本人は死んでしまう。
また、眠っている人を、急に、叩いたりして目覚めさせてはいけない。
体から抜け出す魂が、生霊として他人に害をなすときには、一度、何かの生き物に変身し、それが相手のところに向かうのだそうです。
だから、生物が家に入り込めないようにすると、その生霊に害されることはないのだとか。
生霊の変身する動物は、ハエやハチ;ヘビ;トカゲ;ネズミ;鳥などです。
美しい蝶になることもありますが、それも生霊であり、害をなしたのです。
生霊が魚に化けて、自分を調理させ、それを相手に食べさせて呪い殺した例もあったそうです*。
魚に化けて調理され、食べられたのですから、その生霊の主も死んだのでしょうか?
死ななかったということです。
*この場合は、生霊が体の外に出ていた時間は、一晩の間ではなく、最短でも一両日くらいはだったと思われます。
その間、本人はどうしていたのでしょうか?
眠っていた?




