石じじいの話・山の生贄
石じじいの話です。
生贄の話があります*。
雨乞いの生贄があったそうです。
まず、神前で太鼓を叩いて踊るのですが、それを数日続けても雨がふらない時は、黒馬を川の浅瀬に立たせて、そこで祈りました。
それで、雨は確実に降ったそうです。
黒馬がいない場合は、わらで作った黒い馬を用いたこともありました。
また、わらで作った牛を、「主」が棲むという池に投げ込むこともあったそうです。
そうすると、数日以内に雨が降る。
生きた牛を、川の中に引き入れても同じ効果があったということです。
この時は、牛を殺すわけではありませんでした。
もっと残酷な方法もありました。
白黒の斑の馬を滝のある川に連れて行って、祈祷し、その後、その馬の首を切り落として滝壺に投げ入れて、後を振り見ないで走って帰るのです。
すると、確実に雨が降ったと。
また、干ばつの時、牛の首を切り落として、特志の者がその首を持って、滝壺を泳ぎ渡って、その裏側の岩棚に置いてくるのです。
そうすると雨が降る。
その特志の者には、米などの謝礼が出たそうです。
その後、馬も牛も貴重になったので(高価だった)それらの骨で代用するようになったそうです。
さらに昔には、城を築く時に**、その基礎の四隅に四頭の牛を箱詰めにして生き埋めにしたことがあったそうです。
他の動物、たとえば鶏のようなものを、同じように埋めても良いということでした。
*以下の話は、各地で行われた(と言い伝えられていた)ものをまとめたものでしょう。
**戦国時代でしょうか?




