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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・雨の日の襲撃

石じじいの話です。

雨の日の怪異の話を。


じじいが、雨の夜に、友人と二人で山の中を歩いていました。

石さがしのために山に登って、山中で一泊しようとしたのですが、雨が振り始めたので、下山しようということになったのです。

もうすぐ里だという時に、森の中から、黒い小さなモノが走ってきて、じじいに組みついて来ました。

じじいはとっさに、そのモノを掴んで、道路の反対側に投げ飛ばしました。

すると、その黒いモノは、すぐに立ち直って、今度は、友人のほうに飛びかかってきたそうです。

友人は、それに鋭い横蹴りを入れました。

モノは、飛び出してきた森の方向へすっとびます。

そのモノは、三度目の攻撃をしかけることなく闇に消えました。

柔道の有段者であるじじい、空手の有段者である友人が相手だったのが、その黒いモノにとって不運だったのでしょう。

二人は、ありゃいったいなんだ?と山道を急ぎながら話し合いました。

じじいは、そのモノの体を掴んで投げ飛ばしたのですから、相手の体を掴むことができたのです。

体毛だったのか?衣服だったのか?

とっさのことで判断できませんでした。

手には、体毛も皮脂も残っていなかったのです。

組み合ったときの感覚、蹴りを入れたときの感覚は、ともに、生き物を相手にしたときのものでした。

走ってくる姿は犬のようでもありましたが、じじいに長い両腕で組みついてきたのですから、前肢は自由に使える動物だったということでしょう。

襲ってきたモノがまったく声を発しなかったのも不思議でした。

サルであれば、投げられたり蹴られた時に、うめき声くらい出しそうなものです。

さらに、じじいが、それと組み合った時、相手の体温を感じなかったことと、黒いモノの獣臭がまったくしなかったというのも不思議でした。

ただし、それが逃げ去ったあと、あたりには白檀の強い匂いが漂っていたそうです。

その後、じじいは、モノを掴んだ腕に痛みをおぼえ、友人は蹴った脚が痛んだそうです。

咬まれたり引っ掻かれたりされたわけではないのに。

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