石じじいの話・石灰岩から出土した銀貨
石じじいの話です。
石の話をしましょう
じじいが朝鮮にいるときの話だそうです。
皆さんは、オーパーツというものを知っていますか?
「場違いの出土品」です。
水晶のドクロや恐竜土偶、恐竜と共存した人間の足跡などです。
与那国島の「海底遺跡」も、その一種でしょう。
実際は、自然物を人工物と誤って解釈したものや、捏造品である場合が多いのだとか。
また、発見したときには製造方法が不明と考えられたが、現在ではそれが明らかになっている、ようなアイテムもあるようです。
これも、そのような話です。
日本とは違って、朝鮮にはかなり古い時代の地層が分布しているそうです。
ある石灰岩の採石場から、たくさんの銀貨が出土しました。
その石灰岩は非常に古く、数千万年前のものではないかと考えられていました*。
石灰岩の大きな岩塊を砕いていると、その中から大量の銀貨がでてきたという話を、たまたま近くに来ていた、じじいの耳に入り、そこへ行ってみたそうです。
作業員たちは、大昔の石から銀貨が出た!と興奮していました。
じじいが、その銀貨を見ると、それは、貨幣というより、銀の小粒だったそうです。
刻印のようなものはまったくありませんでした。
しかし、その量が尋常ではない。
一抱えほどの岩石にびっしりと密集して含まれているのです。
これは、どういうことか?
石灰岩に銀が含まれているのか?
そんなことは、地質学的にはありえないのだ、と鉱山技師は言います。
じじいたちが、よく調べると、その銀貨(銀粒)は石灰岩に含まれているのではなく、石灰岩の大きな亀裂(穴)の中に詰まっている粘土の中に入っているのです。
銀貨を含む粘土の色が、まわりの石灰岩と同じなので、作業員たちが石灰岩に銀貨が含まれている、と誤解したのです。
まわりの石灰岩を砕いて粉にして、それを粘土に混ぜたのだろう。
それが、コンクリートのように非常に硬く固結したのだろうということでした。
そのため、まわりの石灰岩と粘土の見分けが、一見すると難しいのです。
じじいたちの解釈によると、これは、石灰岩層にカルスト地形が形成されいて、その穴(ドリーネ、鍾乳洞の小型のもの)の中に、銀貨を粘まぜた粘土を流し込んで、隠したのだろう:ということでした。
これなら、かんたんには見つからないし容易には取り出せないだろうと、これを埋めた人が考えたのでしょう。
この銀貨を隠した人間は死んでしまって、その記録が失われてしまったのだろうと、じじいたちは考えたのです。
この大量の銀貨が、その後どうなったかはわからないそうですが、おそらく、採石場の持ち主(日本人)のものになったのだろうということでした。
じじいは、一つももらえなかったそうです。
じじい箱にも見つかりませんでした。
*これは、戦前の古い知識であり、現在では数億年前と考えれられているようです。




