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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・残された子ら

石じじいの話です。


じじいは、朝鮮で終戦を迎えて、日本に引き揚げてきました。

そのときのことを語ることはほとんどありませんでしたが、断片的にしてくれた引き揚げの時の話しにこういうのがあります。


引き揚げる日本人が、港に向かって延々と歩いていました。

朝鮮人の老人が、4-6歳の子どもを四人ほど連れて、その道端に立っていました。

彼は、日本語で、「この子たちは、置いていかれたのだが、日本まで連れて行ってくれないだろうか?」と、足どり重く歩いている日本人たちに話しかけていました。

しかし、その子どもたちを引きとる日本人は出てきませんでした。

日本人たちは、無関心に彼らの前を通り過ぎていきました。

老人は、日本語で、その子どもたちに、「もう少し待っていようね。」と話しかけながら道端に立っていたそうです。

老人が、子どもたちの手をとって、通り過ぎていく引揚者たちに声をかけていると、ある女性が、彼のもとに近づき、

「私が連れていきます」と言い、

二人の子どもを引き取って歩いて行ったそうです。

その二人は姉弟のようでした。

彼らが歩き去ると、その老人は、残った子どもたちに、

「もうすぐ帰れるからね。」と話しかけながら、道端に立ち続けていたそうです。


「ほかの子らも日本にかえれたんかのう。すてられた子が、ようけおったが。」

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