石じじいの話・海人の入れ墨; 人魚に噛まれる
じじいは、石探しのために、山中だけではなく海岸も歩きました。海岸には波によって岩石が露出していて、おもしろそうな岩石(石や鉱物、化石など)を見つけやすいからです。
そのため、漁村に住む人々にも知り合いが多かったのです。
海の話です。
石じじいの話です。
じじいが、ある漁師から聞いた2つの話をしましょう。
(1) 男の海人が海に潜る時に海の妖怪に害されないように、体に入れ墨をする地方があったそうです。
しかし、それでも海人を襲ってくる妖怪がいました。
これを退治するために海に護符を撒いて退治したそうです。
その入れ墨は、彼が結婚して子供ができても、その子が三つになるまでは見せてはいけないということでした。
入れ墨を見せると、その霊力が落ちるのだそうです。
(2) ある海女は、潜っているときに大きな「人魚」*に噛まれたそうです。噛まれたところには、歯型が消えずに残りました。
その女性の子供の体にも、同じところに、アザがあったとか。
*人魚についての話は、じじいからいくつか聞いたことがあります。
オホーツク海で、漁師の網に人魚のような生物がかかることがある、という話を書いたことがあります。漁師は、不吉として、それを殺すのですが、それは絶命するときに女性のような悲鳴をあげたそうです。




