石じじいの話・頑是ない子どもたち
石じじいの話です。
子どもたちの話を3つ。
(1) ある家で夕食に招待してもらい、そこの家族の人たちと食卓を囲んでいた時、居間に、子どもが描いた絵が掲げてありました。
それは、学校の授業の絵で、水彩絵の具で描いた人物画でした。
おかあさんの絵だったのでしょう。
その絵は、上手に描かれていて、じじいの目の前で給仕をしてくれている、その子の母親にそっくりでした。
じじいが、その絵を見ていることに気がついた、その子の両親は、「どうでず、上手でしょう。」とニコニコしながら自慢しました。
なんとも、子煩悩です。
正面を向いて微笑んでいる、その絵の女性の首から下は、後ろ向きの姿だったそうです。
じじいは、彼らと楽しく談笑しながら、そのことには触れませんでした。
触れると良くないことが。
(2) じじいが町の古本屋で古書を買ったところ、それに一枚の写真が挟まっていました。
それは、ある小学校のクラス集合写真でした。
裏側を見ると、昭和XX年、XX小学校卒業記念、6年竹組
その写真には、100人以上の生徒が一緒に写っていたそうです*。
写真は、その大人数を一画面に収めるために、遠くから撮影されていて、写っている生徒たちの顔は判別できないほど小さいものでした。
いくらなんでも、1クラスの人数が100人以上という学校はないでしょう。
昔は、子どもが多かったといっても。
(3) じじいが町を歩いていると、集団下校している小学生たちに出会いました。
ある男の子が、石膏ギプスをした左腕を首から吊り下げていました。
その子に心配そうに寄り添っている同学年と思われる女の子が、その男の子に、
「右の腕はいつ折るの?」
と熱心にたずねていたそうです。
*皆さん、「100人乗っても大丈夫」とツッコミましたね。




