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石じじいの話  作者: Lefeld
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石じじいの話・済州島の洞窟探検

石じじいの話です。


じじいは、済州島の洞窟を探検したことがありました。

それは、玄武岩の溶岩のなかにある、大きな空洞でした。

その洞窟には、巨大な蛇がいるという地元の噂でした。

洞窟のまわりの玄武岩は、赤黒い色をしており、表面は、軽石のような気孔が発達してたそうです。

洞窟の中は、天井がところどころ崩れて、前方を塞いでいて、その隙間を進んでいきました。

洞窟の床面の泥には、人の足跡が残っていたので、一部の区域には人が入ったのだろうということでした。

しかし、深くなると足跡は消え、人跡未踏でした。

その洞窟の突き当りは、広間のような空間で、一番奥に一段高い小座敷のようなものがあったそうです。

しかし、人工のものはなにもありませんでした。

ただ、骨が散らばっていたので、それを採集して持ち帰ったそうです。

トラの巣ではないか?心配になったのですが、そのような痕跡もありませんでした。

不思議なことに、コウモリや蛇もいなかったそうです。

洞窟には、何もなかったのです。

じじいは、結果的に地元の伝説に冷水をかけてしまったことになったので、余計なことをしたのでは、と反省したそうです。


地元の伝説は以下のようなものでした。

昔、その洞窟には大蛇が棲んでいて、それに少女を人身御供として捧げていました。

ある時、本土から来た武勇の人がいて、その大蛇を退治しようということになりました。

地元の人が彼に言うには、

もし大蛇を退治できたら、その後、どんなことがあっても振り向くな。

ただ、まっすぐ前だけ見て帰ってこい。

と。

その武勇の人は、無事、大蛇を退治して島の城まで帰ってきました。

しかし、城の門を通るときに、彼は無意識に後ろを振り向いてしまったのです。

その時、彼の目の前は一瞬紫色になりました。

彼の話を聞いた、その城の司令官(役人)は、

「お前は、私の戒めを忘れて後ろを見ただろう。大蛇の毒に侵されているから、今晩死ぬぞ。」

と、沈痛な面持ちで彼に言いました。

しかし、その武勇の人は、

「長年人々に害をなしていた大蛇を退治できたのだから、自分の死を悔やまない。」

と言って、後のことを人に頼んで身辺を整理して、自分の衣服を改めて従容として死の床についたそうです。

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