石じじいの話・まじない入門3
石じじいの話です。
つづいて呪い(まじない)の話です。
これは、じじいが教えてくれたものです。
(1) 雨が降るのを止める呪い
人形を作り、それに紙で着物を着せて紙の帯をさせる。
その人形の背中に、「八大龍王」と書き、北向きの便所に、人形を逆さに下げて、
「この雨が、いついつ止んでほしい」と強く祈念しながら、その人形を下に降ろすと、その願いとおりに雨は止む*。
(2) 雷が怖くなくなる呪い
不 醜
という、この二文字を書いた紙を自分の家の天井に貼り付けておいて、十二灯明を供えて抹香を強く焚く。
そうすれば、雷への恐怖心は消える。
また、
野外で雷に遭ったら、この紙(護符になる)を剥がして懐中に入れておいて、光明真言を唱えよ。
そうすれば、雷への恐怖心は消える**。
(3) 犬に咬まれるのを防ぐ呪い
犬に咬まれそうになったら***、左手の指を折って、
「桃寅□丁榴戌雲龍風虎降伏猛獣」
と念ずると、犬はすぐに逃げ去る。
上記の□は、ノートにかかれている文字が読めないことを意味します。
(4) 川を渡る時にケガをしないようにする呪い****
川を渡るときには、次の歌を唱えろ。すると災いは無い。
「ひやうずへよ、ちぎりしことを忘るなよ、川たつおのこ、氏は菅原」
「ひやうずへ」とは、カッパのことだそうです。
または、
筆で紙に「土」という字を書いて、それを懐に入れておけば、渡河のとき災難に会わない。
その字は、指で書いてもいいし、朱で書いてもよい。
*てるてる坊主の呪いのようです。
**恐怖心は消えても、雷に打たれる可能性は消えません。ご注意を。
***昔は、野良犬が普通にうろついていました。以前書いた話にも、じじいがかわいがっていた野良犬が死に、その死体が河原に長い間放置されていた、というのがありました。
野良犬は狂犬病ウイルスを持っていることがあり危険です。狂犬病は、発症すると助かりません。
****じじいは、石探しのために山野を歩きましたから、橋のない川を渡ることはしょっちゅうでした。
何度も、流されて溺れ死にそうになったそうです。
じじいは、カッパのように泳げるのですが、採集した重い石をリュックに背負ってたので体の自由がきかなかったのです。
じじいは、死んでも石を離しませんでした。




