石じじいの話・いくつかの短い話 15・墓に咲いている百合の花は白い;子どもを見る;蟻の行列;ツバメの母
石じじいの話です。
短い話をいくつか。
(1) 墓で咲いている百合の花は、すべて白いのだそうです。
(2) 夏の暑い日、じじいが歩いているていると、子どもたちが原っぱで遊んでいるのを、目をうっすらと開いて見ている男性がいたそうです。
じじいは、その男性が「子さらい」ではないかと不審に思い、少しの間、その様子を見守っていました。
その男性は、瞑想しているように、しかしうっすらと目を開いて微動だにせず子どもたちを見つめています。
彼の視線がよくわからないので、おそらく、見つめているのでしょう。
そのうち、薄目の男性は、静かに、そろそろと、忍び足で、その場を立ち去ったそうです。
(3) 黒い蟻の行列が、白い入道雲の表面を這ってたのを見たことがあったそうです*。
この話を聞いた時、じじい、頭大丈夫か!と思いました。
(4) ツバメの巣にいる雛たちに、「危ない人がたくさんいるから気をつけてね」と呼びかけている女児がいたそうです。
*以前の話で、夏、入道雲の頂点に、人が立っていて、じじいに向かって、「おーい、おーい」と呼びかけていた、というのがありました。
それと似ている話です。




