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石じじいの話・ひまわりを母へ
石じじいの話です。
ある女性が病気で死にました。
幼い女の子がのこされたのですが、その子は母親の死を非常に悲しみ、ずっと泣いていたそうです。
葬式も終わり、いざ荼毘に付そうというとき、その女の子は、両手で持ち上げたスカートいっぱいの花を持ってきました。
母親の棺に入れようと、外で摘んできたのです。
冬だったので、椿でした。赤い花、白い花。
その中に、大きなひまわりの花が一輪あったそうです。
まわりの大人たちは、この冬に、どこにこんなひまわりが咲いているのか?
と不思議に思いましたが、その女の子に尋ねることはしなかったそうです。
母を慕う女の子の気持ちが、そのひまわりとなったのかもしれません。




