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石じじいの話・いくつかの短い話 12・亀の自己防衛;耳で唄う
石じじいの話です。
短い話をいくつか。
(1) ある人が病気になったので、滋養のあるもの食べさせようということになりました。
スッポンがいいだろうということになって、それをたくさん買ってきて食べさせました。
たくさんのスッポンを自宅の池に放して飼っておいて、一匹ずつ殺して病人に食べさせました。
そうしているうち、池にはスッポンが急にいなくなったそうです。
おそらく、池の縁の穴に潜ってしまったのだろうということでした。
しかたがないので、毎回、スッポンを買って食べさせていました。
その病人が死んだら、スッポンが池からぞろぞろと這い出てきたそうです。
(2) 耳から声が出して、話したり歌ったりすることができた男がいたそうです。
その声は甲高いのですが、たしかに声で歌にもなっています。
口の中に、なにか仕掛けがあるのではと疑われて調べられたのですが、そんなものはない。
彼は、仕掛けがないことを証明するために、耳で歌うときには、タバコをすいながら歌ったそうです。




