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石じじいの話・お経を読む仏像
石じじいの話です。
これは、朝鮮での話です。
お経を読む木彫りの仏像があったそうです。
それは、木彫りの古い仏像で、近づいて静かにして耳をすますと、はっきりとは聞き取れないが、なにかつぶやいているようでした。
お経を読んでいるようにも聞こえる。
ある日、その寺に、日本人と朝鮮人の役人たちがやって来て、この現象の原因を確認しようということになりました。
彼らが、その仏像に近づいて耳を澄ませてみると、たしかに中から声が聞こえてくるのです。
これは、あやしいというので、その木像を一気に倒しました。
すると、仏像の底の洞のなかからハチが大量に飛び出してきて、彼らを刺しました。
仏罰だ、と人々は噂したそうです。
蜂が仏像の中に巣を作って、羽根のうなりをあげていたのが、読経のように聞こえたのだろうということでした。




