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忘却の勇者  作者: くろむ
蠢く陰謀編
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第八十一話 混沌な戦場

戦闘が開始して数十分。

最初に比べれば気持ち数が減って来た頃。


(シュテルンヴォルフ!流石に俺が処理しないとならねぇ相手だ)


上級冒険者でも油断すれば深手を負いかねない危険な存在。

素早い動きと非常に鋭い爪と牙が驚異の魔物だが……。


(左胴!)


右の前足を振り上げた事によって生まれて隙を見逃さず、攻撃を躱して一振り。

それだけでは足りなかったのですかさず同じ個所にもう一度斬り込む。


素早い動きや鋭い爪、などと言った類のものが驚異の魔物はミナトに相性が良い。

入学試験前に戦ったスカイバザード。あれと同じように。


一方硬い皮膚を持ち合わせていたり、倒す為には強大な火力が必要となるような魔物は苦手としており。

普段なら遭遇すれば迷わず逃げる相手だ。



(しっかしこいつは流石に生徒に相手させていいやつじゃねぇだろ、先生方にはもう少し……ってマジか)


幾ら余裕がないとはいえ、このレベルの強力な魔物を流すのはどうなんだ?と疑念を持ったがそれは即座に振り払われた。


シュテルンヴォルフ程の魔物を無視せざるを得なかった状況。

それはより脅威となる相手が居た場合仕方ない事だろう。


教師陣が戦っていたのは、モストロオーク。

オークの中でも最上位クラスの魔物でミナトが苦手とするタイプの代表例の様な存在だ。


(あいつと戦ってたなら仕方ねぇ、っつーか寧ろありがたいな。

変な事考えて申し訳ないくらいだ)


非常に防御が硬く、その巨体から繰り出される攻撃はどれも当たれば致命傷なりかねない。


(もしあれと戦うとしたら先ず間違いなくルチアの火力が必要になる。

俺はアイクと一緒に注意を引きつつ足元を削って行って、トロールにはルチアの護衛と隙を見て攻撃に参加してもら……っと今はそんなこと考えてる場合じゃなかった)


今日は集中力が抜けすぎだな、と猛省。

再び気合を入れ直し戦闘を続行。


___________________________________________


「そんで他の戦場はどうなってた!?ちゃんと……っ耐えてんだろうなぁ!」


ここまでの大規模な戦闘になれば視覚と魔力探知程度じゃ情報は全く足りない。

だから時々余裕の出来たタイミングで他の戦況を調べに行く奴が現れる。


「北側は問題ないってよ!騎士団の奴らは普段から連携してるから大丈夫だろう。

魔法学園のガキどもも良くやってるみたいだ。

だがやはり穴は新米冒険者達のところだな、もう魔物が抜け始めてるらしい」


{ちぃ、やはりそこが穴になるか!もう少しここが楽になれば抜けた魔物の殲滅に人数も割くか}


現状騎士団以外の箇所では統率は上手く取れていない。

魔法学園組も取れてはいるが生徒の安全が第一な以上、教員の動きの自由度は低い。


ここに残っていた冒険者達はレイドに呼ばれなかったレベルの人達。

つまりは駆け出しクラスの者たちも多く、そこが不安要素である事は戦場全体での共通認識だった。


{中には駆け出しでも出来る奴はいるが全員がそうな訳じゃねぇ……}


「お前らぁ!とっととここ終わらせて他のとこ行くぞー!冒険者稼業は助け合いと獲物の奪い合いだー!」


中には指揮をとれる者が残っていたのが不幸中の幸いか。

各地で余裕のある者は既に意識を別の戦場に向け始めていた。





「はぁ……ちょっとずつ数減ってきたね」


「最初に比べれば少しはな、、だが油断出来ない状況なのは……変わってない!」


未だに数が尽きない魔物を相手にしながら話す二人。

相手の数が減ってきたことと、戦闘に慣れ始めた事もあり少しの余裕が生まれきていた。


{にしてもルチアさんよく魔力切れないな……ほんとどうなってるんだろ}


もうそこそこの時間魔法を撃ち続けている彼女を改めて凄まじく思うが、その理由は端から見ているだけでも分かるものだった。


それは使う魔法の最適化。

普段授業で撃っている様な威力重視のものではなく、相手を倒すことは出来る程度の威力、を狙っており。

今回の戦闘でも当初撃っていたものと今撃っているものはまた威力も範囲も違う。


対象に必要な威力の魔法を瞬時に見極め調整し、少しでも魔力を持たせる。

アイク達との距離を縮めた事で一人で処理する量が減り、撃つ回数と一回の範囲が減ったのも理由だろう。


「……」


(まだ無理だな、流石に数が問題だ。

多少強いのが来てもルチアが居れば大抵なんとかなるだろうし、先生たちの協力もあれば尚更。

でも今はそのタイミングじゃない。遅くなれば逃がすか、誰かが被害に遭う可能性もある。見極めが大切……か)


気にしなければならないのは裏で糸を引いている存在。


ここまで魔物を嗾ける事が出来るとなれば相当厄介な相手である事は明白。

他でもない自分で対処するのが理想だと考えていた。

黒幕の正体は魔族であると踏んでいるミナトは、対魔族戦において抜群の経験がある。


それこそ下手な教師を連れて行くよりも一人で自由に立ち回った方が良いと考えるほどに。


数で押すか一人で様々な選択肢がとれるよう動くか。


別に倒すのが無理だと分かれば増援を呼ぶなりひたすら耐えて圧倒的な人数をそろえるかという選択できる。

しかし下手に人を連れて行けば返って撤退が難しくなってしまったり、相手が想像以上の手練れの場合逆に負傷して足手纏いになる可能性も。




(!今確かに……)


そうこう考えながらもひたすら魔物をばったばったと斬っていくと、僅かな魔力を感知。


ここまで入り乱れた戦場だと得意の探知魔法もいつも通りとはいかない。

だが動きを止めてそれのみに集中出来れば話は変わってくる。


「悪い!ちょっと動けなくなるから時間稼いでくれ!」


魔物が減ってきた今ならと、少し後ろに居るアイクに頼みながら近付いていく。


トロールとルチアはよく分かっていなかったが、何か考えがあるんだろう、位は察しがついていた。


「分かった!なんとかする!」


{多分ミナトは僕じゃ分からない、手が届かない事まで考えてる。

それは僕には出来ないことかもしれないけど、、、少しでも手伝う位は!}


即座に了承を貰った事に感謝を示しつつ立ち位置を調整して、探知魔法に全神経を注ぐ。


「っー!」


この入り乱れ広大な戦場を探知するなど並の事ではない、が。


(これだけは昔から得意だったんだ、やってやろうじゃねぇか!)


各地に居る魔物達と、それと交戦する人々。

その中から探し出すのは一瞬感じ取ったあの気配。


一応魔力は隠しているがこの戦場という事もあってか雑になっている、それはこちらにとってはありがたい事だった。


(居た!ここから少し東側、、周囲に他の反応が少なかったから見つけやすい!潜伏が雑なんだよお前ら二人ぃ!)


見つけたのは二人組。

両方魔族だ。


しかし見つけたところでこの戦況がどうにかなる訳ではない。


(行きてぇところではあるが、、今ここを空けるのはしんどいか?)


「……」


さっきは三人に時間を稼いでもらっていたから探知に集中する事が出来た。

しかしいつまでもそれが維持出来るかが分からない以上、下手にここを去る訳にはいかない。


それに相手は二人、仮に向かっても一対一ならともかく人数差は流石にマズい。



「ミナト!」


中々行動が決めきれられない様子を見てアイクが口を開く。


「僕には分かんないけど、、やらなきゃいけない事があるんでしょ!?ここは僕達でもなんとかなりそうになってきたし行ってきなよ!」


だが……と言いかけるミナトに続けて声を掛けたのはトロールだった。


「お前にしか出来ないのだろう、、、だがこれは俺達でも出来る事だ。

自分に出来る事に専念しようと言ったんだ、行ってこい」


「……行けば?あんたの分なら私でも出来るし」


更にルチアからの後押し。

これは流石に予想外だったのか驚いた顔をしていた。


「……そこまで言って貰えたんなら行くしかねぇか……任せたぞ!」


飛び出していくミナトを見て教師陣も流石に静止の声を掛ける。


「ちょっとどこいくのミナト君!勝手に動いちゃ……」


「戦況がどうなってるのか確認してきます!数は減って来たけど油断はできないんで、あいつらの事気にしといてくださいねー!」


やや強引にこの場を離れる。


さっきまでは三人からの言葉もあって少し笑みを浮かべていたが、気を切り替えて走り始めていた。


(相手は魔族二人、、、幾ら隠そうとしようが下手すぎる。かなり強いのは分かった、正直二対一はかなり分が悪いが……ってマジか)


王都から見て南東の方角に向かって走っていた所。

ミナトは同じ方向に向かって走る()()()を目撃する。

昨日描いてる途中で文章消えちゃったんですよね……。

だから投稿空いちゃいました。


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