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忘却の勇者  作者: くろむ
蠢く陰謀編
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第七十八話 突然、それはあまりにも急な出来事

「~であるから、多くの場合獣型の魔物は嗅覚に優れている上敵を察知する能力が非常に高い。なので相対した場合は~」


魔法生物の授業。

この時間には魔物や一般の動物とは違い魔力を帯びている生物の事を習う。


魔法科のここでは、その生物の弱点や戦い方など実戦で役立つ事まで教えてくれたりもする。


「……」


中には話半分程度であまり熱心ではない生徒も居るが、殆どの生徒は真面目に取り組んでおり。

その中でも特に真剣に取り組んでいるのがアイクである。


(最近特に授業も頑張ってんなぁ、、、俺はあんまり熱心に受けてる訳じゃないし。ただ褒めるしかないけどさ)


基本的な知識で言えば筆記テストで学年上位を余裕でとれる程の余裕はあり。

座学はまだしもこの手の実戦でも使うような授業は殆どの知識は既に身に付けている為、授業はあまり熱心なタイプではない。

ウォーデンが担当する魔法座学は別らしいが。


___________________________________________


休み時間になり、授業用の教室から一組の教室まで戻る。


「朝から随分頑張って授業受けてたじゃないか」


その最中移動を共にするのはやはりアイク。


「まぁね。こういう知識も必要になる時が来るだろうし、出来る事はやっておきたいって思うから」


「偉いねぇ、、俺は座学系はいまいちだ」


「ミナトが言ったんだよ?知識はあるだけ得だって。いつか役に立つときが来る、って」


そんな事言ったかな~と記憶を遡れば確かに言った記憶が微かにあった。


(実際それはそうなんだけど、、、ほんとよく覚えてるよ。

ここまで覚えられるなら知識が役に立つときもいずれ来るだろう)


言った事は覚えていなかったがその言葉は本当であり、今も変わらない意見。


何事も頑張っていて関心関心、と思っていたところ質問が飛んでくる。


「そう言えば今回やったとこでさ、獣型の魔物は勘が鋭いから厄介な動きをすることもあるって言ってたけど。

具体的にどんな動きするのかな、、、知ってる?」


「俺に聞くよりもさっきの先生に聞いた方が分かりやすい説明してくれるぞ」


聞いてくれたことは嬉しいけど、こういう時は専門である教師を頼れーと諭すと。


「でも前は教えてくれたじゃん。毒を使う魔物が厄介だ、って。あの時凄い分かりやすかったよ?勿論先生もそうだけど、ミナトは実体験って感じの説明だから入って来やすいんだよね」


またまたよく覚えているこって、ともはや感服すらする始末。

だがやはり満更ではなく。


「まぁそこまで言われちゃしょうがないか。

んで、獣型の特徴的な動きだっけ?あいつら偶にな……」


どうやら師匠は剣や心だけでなく、勉強まで教えてくれるらしい。


___________________________________________


「次の授業なんだっけ?」


「今度は一般座学ですよ」


「そっかぁ、、今日実技科目午後だけだったな確か……」


教室に着き、次の授業まで適当に話をしたりする。

なんやかんやで最近はアンテレ含めた三人で居る事も多くなってきていた。


「そう言えばさ、来週からじゃなかったっけ?追加の留学生が来るの」


「はい、今日か明日には王都に着いている予定のはずです」


今回の交換留学は、一週間早く生徒を送ってからその後に今度はそこそこの人数がやって来るシステム。


先に少ない生徒を向かわせることでこっちに馴染ませることが目的らしい。

そして後から来る彼らにも円滑に馴染んでいってもらう思惑らしいが……本当に分ける必要があるのかという疑問を抱いた生徒も多いとか。


「追加で来るのが誰かも知ってるのか?」


「知ってます、ベル君やゼノさんも来るんですよ」


今度は知ってる名前が来ることに少しは期待する事にしたが、うちのクラスに来ないと交流は難しいとも思い。


(ベルとは一回ちゃんと話してみたかったけど、、、こっちに来るかは運だな。

まぁ何回か合同で授業とかするだろうしそん時にでも……)


と考えていたら、思い出したようにアイクが話し始めた。


「あ!今日朝なんか騒がしかったよね。やたらバタバタしてたっていうか……」


「今朝来る途中何だろうって話してたんですよね」


どうやら二人で学校に向かっている最中に気付いたらしい。

いつもと違う街の雰囲気、活気があるとはまた別の騒がしさだったと。


「知ってるぞそれ。ロヴェンテドラーゴが出たらしい」


「「!?」」


話に入って来たのはトロール。


聞こえてきた名前に驚く二人に落ち着いた様子で話す。


「ちょ…それほんとなの!?」


「ああ。ギルドが緊急で招集掛けたんだよ、だから騒がしかったんだ」


ロヴェンテドラーゴ。

魔物としての討伐難易度は最上位クラス。

天災と呼ばれる類の魔物であり、対策を誤れば一国が滅びかねないとされるドラゴン。


「そりゃ騒がしい訳だ、レイドって事だもんね。

でもそのレベルの魔物が出た割には学校側も落ち着いてるし、街もパニックって訳じゃなかったよね」


一国を滅ぼしかねない魔物が出たのならそりゃ王都中がパニックになってもおかしくはない。

それ程にはならなくとも警戒態勢位はとってもいいし、実力者揃いである魔法学園の教師が呼ばれていない事からも妙な部分がある。


「お前ら知らないのか、()()()が偶々王都に来てたんだよ。

騎士団は今主戦力が出張ってて人手が足りないから困ってたけど、お陰で一安心だそうだ」


あの人、というのが分からないミナトが聞こうとしたところだった。


「全員座って話を聞け!緊急事態につき速やかに我々の指示に従ってもらう!」


代理の担任教師が教室の扉を豪快に開けながら伝える。


これまでこんな事は一度も無かったことからも緊急性が伝わり、クラスの全員が言われた通り動く。


(随分騒がしいな、、、学校全体が良くない雰囲気だ。

余程の事か?探知掛けてみるか……)


説明が始まる前に万一を心配し探知魔法を掛けるが、これから言われることが直ぐに分かった。


「いいか、時間がないからなるべく一度で覚えてくれ。

この王都を囲むように大量の魔物が現れ侵攻して来ている」


王都とは名から分かる通り国の最重要都市だ。

街の大きさも国内最大、かなりの広さを誇っている。


その王都を囲む量の魔物が発生するなど本来あり得るはずがない。

だから生徒が混乱するのも無理はないどころか正常な反応だ。


「ミナト」


まだクラスがざわついている中、小声で呼びかける。


続きの言葉は分かっていたので言わないし聞かない。


「本当だ、大体の数すら分からないが全方位に居る。相当マズいぞ」


流石に距離が遠すぎる事から詳しくは分からないが話が本当である事は自力で知る事が出来た。


(王都を囲む魔物の大群だと?自然の現象じゃねぇ、少なくとも俺は知らない。

魔物がここまでの群れを成すのは大抵……魔族が率いている時だ)


これまでのミナトの戦いにも、町や村を攻め落とす為に大量の魔物を引き連れてやって来る魔族は多く存在した。

中には町総出の決戦でも一晩中戦い続ける程の大激戦もあったがここまでのものは記憶にない。

完全に異質なもの。


この第四魔法学園を襲う悲劇が、またやって来たのだ。

リアルが忙しかったのと、一話で二回も名前を考えようとしたのが一週間の間の言い訳です。

一週間掛けても名前が思いつかなかったので明かさずに終わったんですけどね……。

ちゃんとこの王都攻防戦の中で「あの人」とやらの名前出すので少しの間待っていてください。

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