番外編 担任の気になる秘密……?
「そういや先生って団長さんと仲良いですよね」
「なんだいきなり……」
バルドルの件があった翌日の放課後。
ミケーレからの呼び出しに応じ、一通りの話を終えた時に以前から気になっていた事を聞く。
「ほら、俺が人斬りの容疑に掛けられた時も二人は顔見知りっぽい感じでしたし。
思い返せば入試の時もなんか喋ってませんでした?」
アイクに対していつも、よくそんな細かい事まで覚えているな、と言っているが本人もそこそこ覚えている方だ。
最初のは兎も角入試の事まで覚えているのは中々と言っていい。
「んー、、隠す事でもないんだがな。
実は同級生だったんだよ、この学校で」
「!?」
その発言にミナトの頭は高速で働き情報の処理にフル稼働する。
(どう見ても三十代はあるあの人と同級生って事はもしかしてこの人こう見えて結構年が……!)
「おい」
女性にとっては禁忌とも言える結論に近付きつつあった時、たった一言でその思考を止める。
こちらの考えを読まれたのだろう、先に手を打ってきたのだ。
「言っておくが私はまだ二十七だ、いいか。
まだ二十七だ」
大事な事なので二回言いました、とばかりに強調して告げてくる。
「は……はい」
ルチアよりも恐ろしく感じる圧力を浴びたミナトはただこう返事をするしか選択肢が無かった。
まったく、とミケーレは不服そうな顔をしていたが改めて考えるとまた不思議な答えが出てくる。
(…って事は団長あの顔でまだ二十代か……世界は広いもんだな)
老けて見える訳では無いが、ワイルドな顔つきと経験豊富そうなオーラからウォーデンとは別ベクトルのイケオジ、というイメージだったが実年齢は存外若かったのか。
そこに驚きを感じていればまたしても訂正が入る。
「あー、同級生と言ったが同年代ではないぞ。私は飛び級したからな」
「飛び級?」
(そー言えばミスラんとこの子が史上初の飛び級で入学したって聞いたかも……)
古い記憶を遡って思い出そうとする。
本来魔法学園に飛び級なんて制度は無いが、あまりにも規格外の実力を持っていた彼女に特例としてその措置は取られた。
当時十歳の少女が魔法学園に入るという事が大々的なニュースとなり、弟子の子孫という事もありミナトもそれを耳にしていたが……。
(あん時聖魔祭見に行こうと思ってたんだけど、、なんかテロリスト達と戦ってたから身に行けなかったんだよなぁ……)
思い出したのはまた物騒な記憶。
国家転覆を企てていた組織に対抗していた為大会は見に行けなかったが、その年の結果は準優勝。
彼女が二年生……つまりは十二歳の時の出来事である。
(改めて考えると凄いよなほんと、十二歳の少女と十七歳の青年が戦ってたんだもん。
時代が時代なら勇者にでもなれたんじゃ……ってそれはないか。
そんな柄じゃないし)
実力だけを考えればその名声を手にしても不思議ではないが、器というものが違う。
彼女には彼女に適した役割がある。
それが教師なのかどうかはさておき、勇者ではないとかつて勇者の仲間であったミナトは結論付ける。
「……そうだったんですね、だったら仲が良くても不思議ではありませんか」
少し物思いに耽っていたが話を続ける。
「正直仲が良いかどうかは知らんがな。
面識がある程度さ、別に特別なにかがある訳じゃない」
(結構ドライだな、、、いつの時代のどの女性もそういう人が多いのか?)
これまで出会って来た方々を思い出せばかなり冷たい態度を取られてきた事。
そして現在進行形で冷たく接されている人。
(……今度理由でも探ってみようかな)
ただし、下手に行動して向こうにそれがバレたなら怒りを買いいつぞやの弱みを使ってくる可能性がある。
慎重に行動しなければならない。
覗きの変態野郎なんて汚名を被せられるのは、ある意味殺人容疑を掛けられるのよりキツイものがあるからだ。
「あ!それとまだ言い忘れてた事が何個かあって……」
「マジですか、、それ忘れてたらヤバいやつじゃないでしょうね」
「大丈夫大丈夫。今までも結構忘れて言ってなかったことあったから」
「全然大丈夫じゃねぇ……」
今日もこの話し合いは平和に進んでいる。
互いが無事にいる限り。
少なくともこの学校に居続ける限りは。
ミケーレの聖魔祭の戦績について。
一年、二回戦敗退。
二年、準優勝。
三年、優勝。
団長ことガブリエルは集団戦にむいた能力をしているので個人では戦績は振るいませんでしたが、団体戦では前人未到の三連覇を成し遂げています。




