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忘却の勇者  作者: くろむ
特異点の謎編
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第六十六話 人と繋がったり、人と人が繋がってたり

トロフィムとの面会。


先日ミケーレに頼んだミナトは、今まさにその場に来ていた。


「あの先に居ますので、どうぞ」


そう言われて奴の居る牢の方に向かう。



「おやぁ?ミナト君ではありませか、何か私に用でも?」


牢に入れられているというのにかなり余裕そうな様子だった。


彼の身なりと顔を見れば、全く囚人生活を苦にしていない事がよく分かる。

無駄に暴れておらず、精神的にも安定している様で。


変わらねぇなぁ、とミナトも少し拍子抜けの様子。


「随分余裕そうだな、、、お前にはかなり重めの刑が下される筈だが」


「死刑にならなければ良いのですよ。命さえあれば考える事が出来る……君達の事とかね」


(気持ち悪ぃ)


この間の素晴らしい研究データを見た時は本意ではないが認められる部分もあったのに、やはりいざ会ってみれば嫌悪感が増す。


牢の前に座り、たまたま通りかかったのではないと向こうに分からせる。


「それで?本当にここには何をしにきたのですか?」


「お前と話をしに来たんだよ」


「なんと!私と話!?それは光栄ですねぇ良いでしょう幾らでも話しましょうとも!」


何でこいつこんなに元気なんだよ、と思いながらも本題に入ってさっさと帰りたいとも思ったので話を始める。


「お前の研究データは見させて貰った、こっちで有意義に使わせて貰うよ」


「えぇえぇ、よろしいですよ。存分に役立てて下さい」


(マジでなんだこいつ、、)


「良いのかよ。自分で得た情報を他人に使われて」


「あなた達に使われるのならば寧ろ本望というもの、どうかこれからも存分に成長して活躍していってください。牢屋にまで活躍が轟くくらいに」


「……」


これはここに来る前から分かっていた事だが、トロフィムは生徒達の事を妬んだり嫌っている訳では無い。

それは牢屋に入れられた今でも変わって居らずミナトはそれを見越して会いに来ていた。


(こいつは寧ろ俺達の事を好ましくすら思ってる、気持ち悪ぃがな。

能力は疑う余地のない程優秀だ。この牢の中でも使いようはある)


「……いいか、これは提案に過ぎない。お前が居ようが居まいが俺はどうとでも出来る、その上で答えろ」


チラッと辺りを見て、見張りの兵が何も言ってこない事を確認する。


「もし俺に協力するなら、多少の見返りをやる。勿論制限はあるから本当に多少のものだがな」


口にしたのは協力打診の申し出。


ミナトの様子を見てこれが真剣な話であると分かったトロフィムはこの話に乗り気なのか、嬉しそうに返事をする。


「それは興味深い話ですねぇ、、見返りとは何をしてくれるのですか?」


「さっきも言った通り制限はあるが多少の減刑、そしてお前が望むなら外の情報もくれてやる」


本来ならこんな事は当然許されない、というよりそんな権利は無い。


だが今回はミケーレにこの話を通してもらっており、事前に交渉の話はしてある。

更ににそこから騎士団長までが許可を出した事もあって許されている訳だ。


「外の情報とは……もしかして君達の話もしてくれるのかな?」


(掛かったな)


ここで勝ちを確信しながら話を続ける。


「ああ。授業の成績や一般人でも入手する事が出来るレベルの話ならしてやろう」


「良いでしょう良いでしょうとも!

それで私は何を話せばよいのですか?やはり特異点についてですか?もしくは薬草や鉱石関連のお話ですか!?」


彼らの話が聞こえる事が余程嬉しかったのかとんでもない勢いで話を進めようとする。

子供の様に目を輝かせている相手を見て更に引くミナト。


「まぁまぁ落ち着け、、、最後に確認しておくが定期的に情報は貰いに来る。異論は無いな」


「なんと!定期的に会いに来てくれるのですね!?勿論構いませんとも!私知識量に関しては自信がありますから!」


(……まぁいい、この位の変人なら今までも会ってきたことある。利用するだけだ)


目的を失く事は無いよう心に言い聞かせながら最初の質問を投げかける。


「お前、魔眼については詳しいか」


「魔眼……ですか。ええ、一時期はかなり研究していたのでそれなりには」


いざ話が始まればトロフィムは思いのほか冷静になりながら答え始めた。

そのテンションで居れるならずっとそうしててほしい、などと思いながら話を続ける。


「魔眼持ちを見分ける方法は分かるか?」


「?やり様はありますが、、少々荒っぽいやり方になってしまいますね。

そういうのはあまりお気に召さないでしょう?」


この質問はかなり異質なものである。


基本的に魔眼持ちが能力を隠す事は少ない。

特に攻撃系魔法を扱うタイプならそれが顕著であるが、どの系統でも魔眼はあまり隠す必要がない。


その必要があるのは例えば未来視のような本当に貴重なもので、周りに知れては能力が貴重過ぎて身の危険があるレベルの代物位だ。


だから今回の相手の反応は合っているといえばそうだが、ミナトにとってこの質問はかなり重要なもの。

当然である、これが分かれば解呪までの道のりが大幅に楽になるのだから。


「やはりそうなってしまうか……」


この世界では未だ魔眼の存在を他者が特定する術は非常に少ない。

あるとすればそれはさっき言ったような方法、例えば体を解剖するレベルで分析するか、もしくは身体の分析を得意とする魔眼を使うか。


(なら無しだな)


ミナトには、この間の誘拐事件の時トロフィムと協力する手段も存在した。


体を覗くという発言はつまり解剖と同義、ここまで調べれば魔眼の有無だけでなく種類の特定まで出来るだろう。


そうすれば少なくとも一組の中に黄玉眼の持ち主は居なかった、という事実は確認する事が可能。

だがそうしなかった。

つまりミナトの基準では、呪いを解く為に他者を犠牲にする事はしない、という事になる。


だからあくまで安全な範囲で確認する方法が無いか聞いてみた訳だが……結果は案の定。


正直この質問は聞く前からある程度分かっていた、それは次の質問も同様であるが僅かでも可能性があるなら聞かない手は無い。


「なら、黄玉眼について知っている事は?」


「!」


この質問にトロフィムは驚いている様子。こちらも驚いて当然だ、黄玉眼なんてもはや都市伝説的な存在で調べるだけ無駄、というのが今現在の一般的な認識だからだ。


(期待はしていない、、だがこいつ色々と()()に近い事もやってるだろうしもしかすると……)


あまり期待を持ってはいないが果たして……。


「申し訳ないが期待に応えれそうではないですねぇ。

知っている事で言えば精々、約四百年に一度現れる事とその宿された能力も見極める方法も不明、という事程度です」


こちらも概ね予想通りか、と言った返答。


「……いや、どの道あまり期待していなかった。少し意地悪な質問をしたな」


「すみませんねぇ……ですが、一人だけ当てがあります」


「!誰だ、ちゃんと話せる状態なんだろうな」


今度は予想外の返答が帰ってきたところで、一気に話に食いつく。


「えぇ、私が最後にあった時にはまだちゃんと会話が成り立っていましたよ」



その後当てがあるという人物の名前、そして居場所を聞いた所でミナトは牢を後にした。


___________________________________________


(想定外の成果があったな、、、この間の調査の報告を聞きに行きつつ例の奴について調べさせるか)


この後は諜報活動を依頼している彼らに会いに行くために、マスターの居る酒場まで行こうと考えていた所……。


偶然とある人物と鉢合う。


「おお!ミナト君じゃないか、人斬りと接触した時の取り調べ以来か?」


「そうですね、お久しぶりです」


まぁそれほど久しぶりでもないが、一応挨拶を交わしておく。


「あの、色々と裏で話を通して貰えたみたいで…ありがとうございます」


「じゃあ丁度さっき会いに来てたんだな。

別にあれ位ならどうとでもなる、この間はあらぬ疑いを掛けてしまったからな」


はは、と乾いた笑みを浮かべながらもふと思う。


(そう言えば先生伝いでこの人に話がいったらしいけど、、、やっぱこの二人なんか関係あるっぽいよな)


と思っていた所に向こうが言葉を掛けてくる。


「そういやあんまり話す機会が無かったから今言っとくがよ、どうだ。騎士団に興味はないか?」


思い返せば初めてあった時にも少しだけ話が出ていた。

聖魔祭で高順位を出した生徒に騎士団のスカウトが来るのは例年の流れだが……。


「あー、、申し訳ありませんが卒業後は自由に旅をしようと思っていて……」


「だよな。なんか最近は断られる人が分かってきたもん」


結構あっさりした感じだが、ミナトからすれば少し申し訳ない気持ちもある。


一応冤罪を掛けられていたとはいえ、この人自身は擁護してくれていたみたいだし人斬り事件の時も自由に動かせてもらっており。

今回も要望を叶えて貰っていたので流石にただ断るだけは少し罪悪感が出てくるものだ。


「クロムとかはどうですか?あいつの方が騎士団の適正は高そうですけど」


思い出した様に提案してみるが、肩を落としながら答える。


「随分前に断られちゃったよ。入る予定はありません、ってきっぱり言われた」


(ふ、不憫だな……どうにかしたい気持ちはあるけど俺は本当に入れないし……)


なんとか出来る事を考えてみると、一つだけ気持ち程度の案を思いつく。


「あ!もし有望そうな奴が居たら紹介しときますよ!確実に戦力になれる奴!」


(クラスでも何人かは騎士団入りを考えてる奴も居るだろうし、今後の成長を考えたらきっとなんとかなる!)


かなり希望的観測に溢れた考えだが、一応向こうも喜んではくれてるようで。


「悪いなぁ気ぃ使わせちまって……でも正直助かる!いつでもいいから有望な奴頼むぜー?」


と言って用事があるからと行ってしまった。


別に騎士団が不人気な訳では決してないが、そういう人物は騎士団への入団を目的とした別の学校に行く人が多いだけだ。


だが魔法学園の生徒の存在を無視するわけにもいかず、更にこの国の魔法学園は少数精鋭。

毎年粒揃いであるから尚更。



(まー気取り直して、あいつんとこ行くかー。でもちょっと腹も減って来たな)


監獄から出てきたにしては随分気楽そうな事を考えているが、向かう先は諜報員達のまとめ役の居る場所。

誰が裏で一体何をしているのか分からないものだ。

ミナトが会話の中で「話せる状態なんだろうな」と聞いていたのでこれの説明を。

「禁忌」を犯した者は大抵ロクな事になりません。

中には会話すらままならない状態の奴だって居るでしょう。

トロフィムの知り合いで、黄玉眼に着いて知っているかもしれない人物。これだけ挙げればかなりヤバそうな人物なので一応の確認です。

ヤバい奴過ぎて会話が成立しないかも、とかそういう話ではありません。

物理的に会話は可能か?という質問です。

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