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忘却の勇者  作者: くろむ
特異点の謎編
52/175

第五十話 余裕ない時はツッコむことすら出来ないよね

(…今日で最後か)


ミナトの案外短かった寮生活。


今は容疑も殆ど晴れており、明日には自宅に戻れるそうだ。


最後の夜、いつも通りこっそりと寮を抜けて見回りに行く。


毎晩走り回っていたが、結局犯人を見つけられたのは一度のみ。


(これもいつまで続けるかな…)


疑いが晴れたのなら、正直この行為ももうしなくてもよい。

犯人の逮捕は本来騎士団の役割だからだ。


その中にはミナトよりも事件の調査や追跡に長けた人物もいるだろう。


元々深夜に駆け回るなど、学校側は容認出来ない事だ。

だって寮には消灯時間があってそれに従わなければならないから。


それにこれは殺人事件の容疑者を探し回っている。

本来ならそんな危険な行動は許可されるはずもないが、特例として許されていただけ。


恐らく寮を出ればこの深夜の見回りも禁止されるだろう。


(まぁ別にこれに思い入れも何もないからいいけどさ。

でもどうせなら捕まえたいし、最後でも気合い入れていくか!)


___________________________________________


捜索を始めてから数時間。


懸命に探し続けるがやはり今日もあの男は姿を見せず。


いつもと同じ流れかな、と思い始めたところで…。


(来た!)


前回同様相手の殺気を察知。


感じたのは案外近い箇所からであり、即座にその場に向かう。


(やっぱり探知魔法には殆ど引っかかってない!そりゃこんだけ数を出しても騎士団が中々見つけられなかった訳だ!)


もう一度相手の高い実力を感じつつ、接近を悟られぬよう近付いていく。


足音、魔力。

全てを消して近付いていくと、再びあの男の後姿が見えた。


(今回のターゲットはあいつか…)


そもそも何故このご時世に出歩いてるんだ、と若干の怒りを覚えながら相手の隙を伺い。じりじりとにじり寄っていく。


「…」


こちらから仕掛けられるタイミングを待っていると、向こうが遂に動き始める。


ターゲットに斬りかかろうとした所、動き出す仕草をした瞬間から踏み込んでいたミナトが奇襲。


振り被っていた刀で死角からの急襲を防ぐ相手に、舌打ちをしながら言葉を掛ける。


「よお、会うのは二回目だな。今度は相手してもらうぞ!」


ターゲットにされていたであろう人物は、二人がぶつかったタイミングで逃亡。


これにより完全な一対一の状況となる。


(こいつ隠れんのは得意でも探知はそこまで得意じゃねぇな。

つーか今の攻撃受けても真顔か、本当にどうなってんだ最近の奴はよぉ…)


一瞬とある男の顔を思い浮かべたが、今は余計な事を考えていられる状況ではないと戦闘に集中。



最初の攻撃でお互い一度距離を取ったが、両者即座に詰め寄る。


(相手がどんな奴かは分かんねぇ!だったら出来る事は特技の押し付け!)


剣術勝負に持ち込む。


これがミナトの戦い方であり、その他の技術も全ては剣術勝負に持ち込む為の技術に過ぎない。


純粋な剣技ならば負けないという絶対的な自信。


偶に技術なんて全て吹き飛ばすようなパワーやスピードを持った人物も現れるが…。

果たしてこの人物はどうなのか。



打ち合いが続く中、ミナトはある事を直ぐに悟った。

と言うよりは以前に自分が感じた事は正しかったと再確認した。


(こいつ、、強ぇ!)


決して長くない打ち合いだったが、その短時間で分からせられる。


練り上げられた剣技、驚異的な身体能力。


そして今相手は恐らく手加減しているという事、それなのにここまでの腕前。


このまま打ち合ってはマズいと思い一度距離を取る。


「ふぅー…」


自身を落ち着かせようと一呼吸入れて、再び攻撃を図る。


「…」


(何考えてやがんだこいつは。さっきから表情一つ変えやしない)


近年の強者は無表情という通例でもあるのか、と言いたくなるが今は本当に余裕がない。


(とにかくやれるだけやってみるか…)


とミナトが仕掛けようとした時、向こうが今日初めて口を開く。


「俺はお前を殺すつもりはない、ここから去れ」


「またそれか?何か別の事話してくれよ」


忠告を受けたがそれで退く事はせず、踏み込もうとした瞬間…。


「き、貴様は人斬りだな!?」


戦っているところを騎士団の一人が発見する。


(マズい!)


「馬鹿!離れろ!」


その忠告が届く前に男は団員に斬りかかる。


守ろうと急ぐも圧倒的な速度の差に追いつけず。

団員も抵抗しようとするも虚しく、一瞬で斬撃を受け白かった鎧に赤い血が流れていく。


「ちぃ!」


これ以上の追撃はさせまいと、懐から手裏剣を取り出し三枚ほど即座に投げ込む。

全て刀で防がれはしたもののその隙に素早く接近し、団員から引き離すように攻撃。


(俺以外は完全に殺しにかかってるな、動きに一切の迷いが無かった)


「す、すまない…子供に守られるとは…」


ミナトの後ろで倒れている団員は、情けないと言い謝罪をしていた。


ちらりと振り返って団員の状態を見ると、幸い傷は致命傷とはいかないほどのもので直ぐに治療をすればまだ間に合うものだと判断。


(騒ぎにはなってる、他の騎士団の人間も直ぐに来る!この人が助かるなら俺がすべき事は…)


状況を見て戦闘続行を判断。


実力差を理解しながら再び接近、近接勝負を挑む。


(勝機はここしかない!得意じゃない事で勝負なんてしたら一瞬で負ける、僅かなチャンスを掴みに行くん。これまでと何ら変わっちゃあいない!)

実際にミナトが寮に居た期間は二週間も無い位。

因みに初日は知り合い全員に「何でここに居るの?」って言われました(ルチアだけは何も言ってこなかったけどね)

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