表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の勇者  作者: くろむ
特異点の謎編
47/175

第四十五話 素直さを持ってる人間はそれだけで素晴らしい

まだ朝日が昇りきる前。


「…朝か」


いつもの癖で目覚める。


まだ眠気が残ったままの頭で部屋を見渡して、ここがどこであるかをもう一度理解する。


事件の犯人を見つける事、聖魔祭に侵入していた魔族の仲間について。

そしてもう一つ、特異点とは何なのか。


最後のはともかく、上二つは急ぎ調べなければならない案件であるが、ミナトは今考えていたのは…。


「朝の素振りどこでしよ…」

というもの。


寮の敷地から出てはいけないが、流石に人が居ない時間帯とはいえ屋内で剣を振り回す訳にもいかず。


少し考えた後、廊下に出て窓の外を見てみれば寮を囲う塀と建物の間に広くは無いがスペースがある事に気付く。


___________________________________________


顔を洗ってから、さっき見えた場所に向かい朝の日課である素振りをこなす。


(今考えなきゃいけない事は沢山ある、でも!

こうやってしてると頭も心もスッキリする)


いつもとは違う場所でも変わらず剣を振るう。


ただ黙々と「少しでも強い自分になりたい」それだけを思って。




丁度その頃、偶々目が覚めたアイクが窓からミナトを見つける。


{ミナト?こんな朝早くから、、まだ誰も起きてないのに…}


ひたすら剣を振るう姿をただじいっと見つめて、その場から離れない。


{僕があの時感じた思いはまだ残ってる。でも今より強くなろうとしてるのはどっちだ?}


先の聖魔祭、二回戦敗退という結果だったアイク。


自分の弱さに悔いたはずなのに、今行動を起こしているのは自分よりも強い人。


負けたはずの自分よりも勝った人の方が努力しているという現状に。また自身への悔しさが、情けなさが溢れ出てきていた。


{追いつくんだったら、、迷ってる時間は無い!}


そして何かを決意し自室に戻る。


___________________________________________


既に数十分は剣を振り続けているミナトの元に、彼が全速力で向かってくる。


「ミナトおはよう!早いね!」


これまで聞いたことがないほどハキハキと喋るアイクに若干驚きつつも、ミナトも挨拶を返す。


「おぉおはよ、、そっちも早いな。っつーかそれ…」


と言い手に握られている剣を指差す。


(もしかしてアイクも朝から鍛錬を?よーし俺も負けねぇぞ!)


なーんて思っていたが、次の瞬間アイクが深々と頭を下げる。


「一つ…と言っても大きすぎるけど、お願いがあります」


見事なお辞儀にミナトもうろたえているが、昨日の時とはまた少し違った意味で真剣であると気付く。


「…どうした?あと頭は下げんくていい、ちゃんと顔みて話してくれ」


そう言われたので顔を上げ、真っすぐとこちらを見つめて言う。


「僕を強くしてください」


「!」


まさかの発言だったが、ちゃんと次の言葉を待つ。


「同級生にこんなこと言われても迷惑かもしれない、、でも!僕が知ってる中で一番教わりたいと、一番頼れる人だと思ったのはミナトだから!」


真っすぐで、誠実で。

ただ本心を告げているのだと分かる。


(俺はアイクのこういう所が好きだ。

嘘偽りない言葉をぶつけてくれる、思った事、感じた事をそのまま言える。そんな人が一体世界中でどれ位いるだろう、ここまで真っすぐな人間がどれ程存在するだろう)


この時ミナトが感じた事はやはり昨日と同じで、昔に出会った人物と姿を重ねている様だった。


「…そんな事言ったら先生悲しむぞ、何のための先生だーって言って」


「あっはは、そうかもね…」


「ま、俺でいいなら特訓に付き合う位のことはしていいぞ」


その言葉に一瞬で食いつく。


「え!本当!?」


「勿論手加減はしないけど」


「それいつもでしょー?」


いつもと変わらない空気になっていく。


入学してからまだ数ヶ月しか経っていないが、その間一番長い時間を過ごした二人。


この空間は、二人にとっても心を休められる時間だった。



「でも本当に俺でよかったのか?せっかく担任あの人なのに」


「いいの!一番頼りになるとも言ったけど、一番隣に立ちたいとも思った人なんだから」


「!それはそれは…」


「いつかミナトにも負けない位強くなるから」


その言葉に純粋に喜びながらも、本気でそうなるかもと焦りも感じる。


「…今度はそうなんねーよ」


小さく呟く。


「今度って?」


言葉にしたつもりが無かったのか、聞かれたことに驚いていたので慌てて訂正。


「何でもないよ。自分で言うのもなんだけど遠いぞ、そのゴール」


確かにそうだなー、と言った後にアイクは笑いながら話す。


「でもいつか、そこまで行ってみせるよ。出来るだけ早くね」



___________________________________________


その後朝食を食べようとなり、自室に戻り一旦別れる二人。


さっきの出来事と昨日の事を思い出し、一つの事にミナトは気付く。


(昨日はあいつに似てるって思ったけど、あいつにも似てる気がするんだよなー)


最初に姿を重ねたのは、かつての親友であるアレウス。

さっきその姿を思い出したのは、ミナトが弟子に取った()()()()()()()()


(ミスラ、お前に弟弟子だってよ。まぁ何年後輩だって話だけど)


ミナトが取ったたった一人の弟子であるミスラ、かつては第四魔法学園に所属しており、聖魔祭個人戦二連覇の偉業を成し遂げた歴史上でも稀有な生徒。


卒業後は冒険者として活動し、史上初のオリハルコンのランクを持つ冒険者となった。


彼は死後、子孫たちが苗字を名乗りだしたので、魔法学園の教科書などにはこう記載されている。


史上初のオリハルコン級冒険者、ミスラ・ステラ。


(苗字付けて呼ぶとなんだか変な感じだよな。でも、お前の子供たちは綺麗に似合ってるぜ)

今回はオリハルコンのランクについてだよ!

実は元々冒険者ランクの最上位はダイヤモンド級でした。

しかしミスラが成し遂げた偉業があまりにも凄すぎたため、もう一つ上のランクを作ってあげよう!という市民からの後押しもあり、そこでオリハルコンのランクが追加されました。

因みに、オリハルコン級の冒険者は歴史上でまだ二人しかいません。

なのでもはや例外的な扱いとなっており、ダイヤモンドが実質的なトップランクの扱いです。

今回は以上!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ