表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の勇者  作者: くろむ
特異点の謎編
45/175

第四十三話 追え!自分と誰かの為に!

聖魔祭が終わり普通の学校生活がまた始まる…はずだったのだが。


(殺人の疑い?…いや、ありえない。絶対に俺じゃないと断言できる!何故疑いがこっちに向かってきたんだ!?)


ミナト、今世紀最大レベルの動揺。


「ちょっと待ってください!どこから俺に疑いが?心当たりが全く持って皆無なのですが」


当然無罪を訴える。


「まぁ落ち着け、さっき言った事を思い出せ。詳しい事は私からじゃなくて()()()からだ」


と言ってミケーレは右隣に座っている団長を指さす。


(さっき言った事……あぁ部屋に入る前に言ってたやつか)


信じている、その言葉を思い出しちゃんと冷静になろうと一度深呼吸。


(落ち着け、大丈夫。この件に関しては俺に罪は無い)


悪い事をしていないのであれば焦る必要もない、と自分に言い聞かせ話の続きを聞く。


「一応名乗っておこう、この国の騎士団団長を務めているガブリエル・ミュラーだ。

入試以来だなミナト君」


ワイルドな見た目をしているが、話してみれば優しそうな印象であり。

事件の容疑者と話しているはずだが自己紹介までしている。


「ああ、どうも」


(先生はさっき信じてるのは私だけじゃないって言ってたけどもしかして…)


どこから話したもんか、と少し悩んだ後ガブリエルは幾つかの新聞記事をこちらに渡してきた。


その表紙に写っているのは最近国内を騒がせている連続殺人事件、通称人斬り事件。


「この事件の犯人が君ではないかという疑いが出ていてな、今日はそれを確かめる為に来た」


一通り記事に目を通したミナトは、一つシンプルな質問をする。


「…何故自分が犯人だと疑われているんですか?」


至極全うな意見であり、そこが全て。

ここが分かれば反論のしようもある。


「それなんだがな…騎士団の中でも意見が割れているんだが、ちょっと犯人の特徴と一致しすぎていてな」


そう言うガブリエルは困ったような顔をしており、隣に居るミケーレもどうしたものか、というような表情をしていた。


「順を追って話して行こうか。

まず何故この一連の事件が全て関連したものだと分かったかについてだが、被害者の共通点として非常に鋭い刃物で斬られた痕がある。そしてどれも似たような切り口だった事と、現場の状況なども似通っていてな、それで連続殺人だと我々は考えた」


(うん、俺もそう考える。ここまでは当たり前だ)


「そして犯人を追っていくんだが…情けない事に一向に捕まえられなくてな、目撃情報すら先日ようやく出た程度なんだ。

逃げる犯人を追った団員の証言では、黒い髪をしているヤマト族の男に見えた、携帯していた武器は刀。そしてヤマト族だと結論付けたのは着ていた服が伝統衣装の和服であったこと。だそうで」


ここでミナトがある事を思い出す。


(俺、ヤマト族。今持ってる武器は刀……もしかして)


「犯人の目撃情報が少ないという点と、あまり言いたくは無いが非常に綺麗な傷痕。

この事からかなりの手練れであるという事が分かる。

本来なら情報はまだ足りていないのだが、そこで先日の聖魔祭だ」


徐々に冷や汗をかいていくミナト。


「もう一度犯人の情報のおさらいだ。

ヤマト族で刀を所持してる男であり、非常に高い実力を持っている。これが現在持っている情報なんだが…」


そして丁度ここにヤマト族で得意武器は刀、聖魔祭で優勝するほどの手練れの男が。

しかもついでに言うなら寮でなく一人暮らしなので、私生活は分かり辛い。


流石のミナトも、違うと分かっていながら思ってしまう…。


(めっちゃ俺だーー。もうめちゃくちゃ俺じゃねぇか。なんでだよ畜生)


先程までは抗議する気満々だったが、少しずつ顔が上がらなくなっていく。


「だが、場所と日時を考えれば物理的に犯行が不可能な事件もあった。

まぁアリバイはちゃんとあるんだ」


アリバイ、その言葉で一気に自信を取り戻すミナト。


さっき読んだ記事を思い出せば、聖魔祭期間中に行われた犯行が一つ。


「そうです!この事件何かは超アリバイですよ!クラス全員が証人ですし!」


もはや嬉しそうにその事件の記事を指さしながら訴える。


「…必ずしも犯人が単独で動いてるとは限らないから、意見が割れているんだよ」


(確かにそうだよなぁ、、白でも黒でも決定的な証拠がねぇ)


ここまで条件が揃っているのなら騎士団が接触を図ってきても不思議ではない。


「…一応言っておきますが、俺は無罪を主張します。それを証明する為なら何でもやります」


ちゃんと自身の思いを示して、相手がどう動くかを見る。


(まだ向こうでも俺が犯人だと確定してる、って訳じゃない。だって確信があるなら学校に来るのではなく向こうが呼び出すはずだ)


「そうだな、、正直な所俺もそう思ってる。一度剣を交わしたから分かるが、君があんな事をする人間じゃない事位は分かる。だが立場ってもんもあってな…悪いが疑惑が掛かった以上何もしないという訳にはいかない」


立場、それはミナトが嫌っている言葉の一つ。

この言葉を使うのは権力を振りかざす人間か、立場の問題で意志を曲げなければならなくなった人間のどちらかだから。というのが理由らしい。


(この人が悪い人じゃないのは分かった、寧ろ信用できる人物だ。

でも完全な味方になってくれる訳ではない、だったら…)


「何もしない訳にはいかない、と言っていますが具体的にはどの様な事を?」


と聞けば、ガブリエルはミケーレに視線を送り説明を促す。


「ふむ…そうだな、いきなり身柄を拘束って訳じゃないんだろ?なら学校としては精々監視ぐらいに留めて貰えるとありがたい。

それに現段階では特に罰とかは下せないんだろ?」


その問いに黙って頷く。


「だったら、暫くの間は自宅ではなく寮で暮らしてもらう。

登校以外の外出時は必ず申請を出してからで、基本的には敷地内に居てもらう。って案はどうだ?」


(ふむ。俺としてはそれ位で済むならそれほど問題は無いかな、自由に動けないのは確かに不便だが一時期程度だったらさほど問題も無い)




このミケーレの案でひとまず話はまとまり、後で上の方に報告するだけとなったようで。


しかしこのタイミングで、ミナトも一つの提案を出した。


「この事件、俺も協力していいですか?捕まえるの」


(俺としてはなるべく早く疑いは晴らしたいところだし)


その提案とは事件解決に乗り出してもいいか、というもの。


犯人ではないと証明するにはその事件を解決すればいい。単純な考えだが事実そうであろう。


「…学校的にはどうなんだ?」


「え?そっちの意見の方が先だと思うけど……まぁ私個人としては別に良いと思っている。

ミナトだったら万が一の心配も薄いしな」


言った本人も通るかどうか分からない提案であったが、ミケーレは承諾。


ガブリエルも色々と考えたようだが、結局は容認。

()()()()を守る事を約束してのものであるが。



まぁ兎に角、突然掛けられた疑いを晴らす…とまでは行かなくとも何とか許容出来る範囲の制限のみで許される。


なんやかんやで犯人を追うことになったミナトだが、この時はまだ知らなかった。

これから追っていく人物がどれ程の男であるかどうかを。


それはまだ知る由も無いことではあるが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ