表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却の勇者  作者: くろむ
聖魔祭編
40/175

第三十九話 求め続けた相手

始めて見た時から、こいつがどれ程の人間か何となく分かっていた。


一組と二組で練習試合をした時。あの時はスカーフを取り合っただけだけど、何となくこの光景まで見えた気がした。

合同での授業で見ていく度に徐々にそれは確信に近づいていって。


そして今日これまでの試合を見て、俺はもう一つ確信した事があった。


こいつは俺にとって、、特別な存在になるんだろう…と。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『さぁ始まりました決勝戦!今回は珍しくミナト選手最初から積極的に攻撃を仕掛けています!』


試合開始の合図が鳴ったとたん、これまでとは違い速攻を仕掛けたミナト。


(向こうのペースになったらマズい、終始こっちが主導権を握る必要がある!)


まずは軽めの攻撃を二、三発程打ち込んでみる。


(これ位は余裕って感じね、なら…!)


その後飛んで来た攻撃を飛んで回避、そのまま勢いをつけて今度は重めの攻撃を打ち込む。

が、これも涼しい顔で防ぐ。


(マジで?今の本気の一発だったんだけどそんな簡単に防がれんのか…。どうしたもんかな)


高威力の攻撃すらも容易く防ぐクロムに、ミナトは何の策も無く挑んだ事を後悔しかけていた。


真っ向から相手をねじ伏せていくスタイルの相手にこのまっさらなフィールドと、道具の持ち込み不可、勝利条件はバリアを破壊する事。

この条件で事前に考えられる対策などあまり効果はない…と考えていたが。


(本当にどうすっかなー、、ここまで簡単に攻撃防がれると中々厳しいな。

頭も回る奴だから正面からのごり押しじゃ勝てないし……マジでどうしよ)


この現状に中々に焦っていた。




『凄まじい攻防!ここまでミナト選手の攻撃を防げた人物はいませんでした!それを防ぎきったクロム選手!序盤から試合は激化しており、会場もとてつもなく盛り上がっています!!』


その後も暫く攻撃を試みるが、剣と魔法を上手く使った戦い方に苦戦し突破は出来ず。


(いや本当強いなこいつ、マジでどうなってんだよ。こいつだけ学年で頭一つか二つ抜けてんだよな。

でもこれでこそ決勝の相手だ。正に……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


普通の奴だと思っていた。それこそ近くに居たルチア・ソールの方が興味が湧いた。


最初の合同授業で対決した時、その時に初めてこの男を認知した。

父上にも近い存在だと、あの短時間でそう感じざるを得なかった。


そして今日これまでの試合を見て常に俺は奴に驚かされ続け、もう一つ感じた事…いや、確信と言った方が良いだろう。


俺の更なる成長の為に、こいつを必ず乗り越えなければならないと。


___________________________________________


{開始直後からの攻撃…これまでには無いパターンだ}


試合が始まっても、俺はまた奴に驚かされるばかりで。


{高速の三連撃!防げはしたが次は…}


向こうが何度も打ち込んでくる中、俺は一発返すのが精々。


次に飛んで来た一撃には、更に驚かされた。


{何だこの重さは、ただ力だけの攻撃ではない}


まるでこれまでの努力そのものを浴びたような攻撃で、単純な重みではなかった。


これまでの僅かな打ち合いだけで、こいつのこれまでの壮絶な努力を肌で感じられた。


その後も畳みかけてくる攻撃を何とか防ぐことに成功したが、ジリ貧でしかなく。

屈辱にも感じたが同時に、あいつ…ミナトへの敬意すらも同時に感じてしまっていた。


これほどまでの武人との戦い、そう何度も経験できるものではないと。


だからこそ、絶対に負けたくないとも思った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一度距離を離したところで、今後の作戦を考える。


{今は何とか防げているだけでこのままではどこかで綻びが生じる。

どうにかしてこちらから攻めに行かなくてはいけない}


(攻撃が上手く決まらない。もう少し粘ってみても良いかもしれないが、下手すればさっきのベルみたいにカウンターを喰らう可能性もある)


両者の思考は自然と近いものになっていった。


自分と近い実力を持った相手。


これまでそういった人物が居なかった訳ではない。

だがしかしその人物たちは、様々な意味対等な存在ではなかった。


しかし今目の前にいる相手同じ学生、学年であり。


実力は拮抗している。


ミナトは本来自分はここに居るべき存在ではないと思っているが、クロムにとってはずっと求めていた相手であり。


そうは思っているミナトも、もう長い間そういった相手と出会わずにいた。だからこんな存在を心のどこかで求め続けていた。


この時、両者が思った事は一つ。


近い実力を持った相手に対する敬意と、そんな相手と戦える事に関する感謝。


(正に)


{決勝の相手に相応しい}



({相手にとって不足なし!})



そして、近い思考を持った二人が導き出した最善の行動。


(こっちは向こうの一発で全て消し飛ばされる。どこかで一発貰っただけで負けだ。

だから長期戦は望ましくない…)


{何とか攻撃を防げている現状がいつまでも続く訳ではない。一瞬でも防御が崩れた瞬間そこから切り崩される。ならば…}


互いに長期戦は不利だと悟り、短期決戦を仕掛ける。


ならばどうやって相手を短い時間で倒すか、その結論は…。


(純粋な剣技だけなら俺の方が上だ、それは確実。だったらそこに持ち込むしかない。

カウンターを何とか躱しきって倒す。まぁかなりその場勝負の作戦になっちまったけど)


{力だけならこちらが上回っている。ならこちらの最高火力で一瞬で終わらせるまで}


両者ともに、自身の最も得意とする分野での攻撃を決意。


各々が構え始める。自身が打てる最高の技を打つために。


刃を鞘に納め、居合の構えをとるミナト。


剣に炎を纏わせ、自身の魔力全てを剣に注ぎ込むクロム。


そして両者同時に悟る。

次が最後の打ち合いであると。


そしてもう一度強く、互いに得物を握り締めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ