第三十八話 決勝戦って言葉の響き好きなんだよね
「ねぇルチアさん」
「ん?」
「さっきクロム君が最後に打った魔法って…」
魔法、という単語に分かりやすく反応するルチア。
ミナトの名前を出した時の様な顔をしており、聞くのを一瞬躊躇いそうになったが先程の会話を思い出し、最後まで言い切る。
「何か変に見えたけど、、ルチアさん何か分かったりしない?」
「…あれが変に見えたのか」
「えっと、、うん」
ふーん、と言ってから少し考えてルチアは答えた。
「あれはただ発動を遅らせただけだ」
「発動を…遅らせる?そんな事出来るの?」
「出来る。早くするのは難しいけど、遅くするのはそこまで難しくない。
あいつはあの時先に発動準備を終わらせてたんだ。撃つタイミングを調整する為にな」
ちゃんと教えてくれた!とフレアは思ったが、さっきの回答に対する疑問が一つ浮かぶ。
「じゃあ何でクロム君は撃たずにいたのかな。遅らせる事が出来るのは分かったけど、何でそうしたんだろう」
そもそもフレアが最後の場面に違和感を感じたのは、クロムの動きが一瞬止まった様に見えたから。
それはベルが痺れさせた瞬間であるが、ここまで距離が離れていると流石に止まっていた理由は分からなかった。
しかし不自然な動きである事位は分かったフレアは、何らかの理由でクロムが動けなかったのだろうと考えた。しかし動けなかったのに魔法は撃っており、そもそも何で魔法は撃てたのか。更に今のルチアの見解では魔法を撃つのを遅らせたと…。
分からない事は多分にあるが、今はまずルチアの考えをまず知りたいと思ったそう。
「…あいつ、、ベルは雷属性の魔法を使ってた、だから恐らく最後相手を痺れさせて動けなくさせた。
クロムは危険を察知して魔法を撃つ事前に準備をしてた、本来なら痺れさせられる前に撃つことも出来たはずだ」
フレアは黙って頷きながら話を聞いていた。
「そうしなかったのは避けられるからだと思ったんだろ。あいつ速かったし。
だから確実に当てられるタイミングを待った」
「でもクロム君が動けなくなるくらい痺れてたなら、魔法を撃つのは難しかったんじゃ…?」
「魔力を使えば防ぐことは出来る、ただ全身は無理だったから魔法を撃つ片方の手のみを守った」
「そんな事が出来たら確かに…でも体が動けなくなる位の攻撃なんだったら、幾ら撃つ部分を守ってもやっぱり魔法を使うのは難しかったんじゃ…」
何度も似たような事を聞くのに若干不安を覚えつつ言ってみるが、ルチアは特に嫌な顔はせずに答えた。
「それはそうだ、だが撃てた。理由はシンプルに火力不足だったんじゃねぇか?
魔力回路まで攻撃が届かなかったんだろ」
「…」
策を弄しても、隙をついたとしても、圧倒的な力の方が上回る。
実際魔法を撃てたかどうかは、クロムにとっても分からない要素であった。
ただし、その確率を少しでも上げる為に、そもそも相手の動きを読んで対策を講じていたように。
運だけが全てではない。
今回はほんの少しクロムがベルを上回っただけであり、次戦えばまた結果は違うかもしれない。
勝敗結果だけでなく、もしかしたら今度は圧倒して勝つ可能性もあれば、試合でなければまた話も変わってくるだろう。
しかしこれは試合であり、負ければ終わりのトーナメント戦。
今回の結果だけが反映される。
「ルチアさん」
「まだ何かあんのか?」
「ううん、ありがと。教えてくれて」
「ふん。いちいち礼なんていいんだよ」
またしてもぶっきらぼうに言っているが、フレアはしっかりと分かっていた。
{本当に素直になれないだけなのかも。ふふ}
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『フィールドの整備が終わり、十分ほどの休憩が終了しました。
これより聖魔祭一年生の部、個人戦の決勝戦が行われます。
今トーナメントの初戦からその実力を見せ続け、その腰に身に付けられた刀で数々の対戦選手達と素晴らしい戦いを繰り広げてまいりました、、ミナト選手!!』
(え?何これ、何かさっきまでと違くない?)
これまでとは少し違った実況に困惑しつつも、審判の元へ歩いて行く。
『その圧倒的な実力でこれまでの選手達をねじ伏せてきた。英雄の息子ではなく、新たな英雄…クロム選手!!』
(英雄の息子?そーいやどっかで聞いた気が…)
何ともインパクトのある異名を持つ相手だが、ミナトにとってそんなものは対して重要じゃなかった。
これから戦うのは一戦士であり、対等な実力を持つライバルである。
(さて、、お前にどこまで本気を出させられるか…どこまでその自信に満ちた顔を崩せるか…)
『本当に驚きの連続であったこのトーナメント。それもこの試合で終わってしまいます。
しかしこの試合でも、我々はまたしても驚愕する事になるでしょう!彼らはまたしても我々を熱くさせてくれることでしょう!この試合こそが!本日最高の試合となるでしょう!!
一年生の部決勝戦!ミナト選手対クロム選手!!
試合開始です!!!』
今回は魔力回路についてだよ!
まぁなろうなんて読んでる人には分かる事だと思うので、短めに。(短くはならんかった)
シンプルに言うと魔力が伝わっている神経…とは少し違いますが似たような役割のものです。
魔力回路を狙った魔法何かもありますが、使ってる人なんてこの世にいるのかどうか分からないくらいレアな魔法です。
作中でルチアが魔力回路まで届かなかった、と言っていますが届く攻撃なんてものは少ないです。
大抵はダメージのせいで体に問題が起きるか、魔法を使えるほどの精神状態ではないだけです。
ルチアが言いたかったことは、クロムが魔法を使えなくなる程のダメージをベルは与えられなかった、みたいな事を言いたかっただけです。
今回は以上!




