第三十六話 天才って言っても、何個か種類があると思うんだ
(勝った方が決勝の相手か…)
準決勝第二試合、ベルVSクロム。
先に決勝進出を決めたミナトだったが、浮かれてなどはいなかった。
(どっちが来てもキツイ試合になるのは確定だろうなぁ。
リヴェルは何とかなったけど、この二人はさっきと違って相性良いとかないし)
アフィスを使えば一時的にアイクとも並ぶ速度を出せるベル。
ここまで全ての試合をほぼ一撃で終わらせており、普段の授業などからも桁違いの実力が分かるクロム。
(リヴェルは正面から向かってくる正統派剣士って感じだったけど、二人は…ちょっと違うし。
別にだからって負けるつもりもないけどさ、ここまで来ちゃったら)
「っとそれより試合見なきゃだよな。どれどれ…」
考えるよりも試合を見て情報を増やした方が良いと思い、そちらに目を移す。
「あっっぶない!」
場面は丁度クロムが放った魔法をベルが避けているところだった。
{これがクロム君の混合魔法ね、、確かに厄介だな。
でも…さっきもっと凄いの体験しちゃったからな!}
『さぁベル選手一気に距離を詰めていく!それに対してクロム選手迎え撃つつもりのようだ!先程までの試合とは違う剣を抜きます!』
ミナトも実況の言葉でそれに気付き、視線はその剣に向けられる。
(本当だ、さっきまで学校で配られるやつ使ってたのに何だあれ。
何かめっちゃ金だけど、、、あいつに限って見た目だけって事はないだろうし)
鞘や柄だけでなく、刀身までもが黄金で色付けられたその剣は一体どんな特徴を持っているのか。
しかし結果から言ってしまえばこの剣には特別な何かは無い。
なら見た目だけの物かと言えばそれも違う。
クロムがこの剣をわざわざここに来て使用する理由は…。
{あっ、これまず…}
それは二人の剣がぶつかった瞬間。
ベルはフィールド中央付近から吹き飛ばされ、壁に激突。
『何だぁーー!?ベル選手壁に激突!激突です!
この衝撃ならバリアが割れていても何ら不思議ではありませんがどうでしょう!!』
壁にぶつかった勢いで発生した土埃によって、ベルの姿が見えない。
(何だ今の威力…魔法を付与したからってこれは流石に…)
二人がぶつかる直前からクロムの剣には炎が纏っており、これは武器に魔法を付与するという技術で。
魔法、剣術どちらの技術も高水準で扱えるものが使用する事で真価を発揮できる。
(魔法が余程得意な奴なら剣が苦手でも使えたりするが、、ここまでの威力を発揮するのはどちらか一方が得意とかじゃ絶対に無理だ。
こいつ本当に…)
魔法付与や魔力による身体強化を使用したとはいえとんでもない破壊力。
ミナトはこの時、何故クロムがこの試合であの剣を使用したのかが分かった。
並の剣では彼の力に性能が及ばないから。武器が持ち主の力を制限してしまうからだと。
中々姿を現さないベル、審判がバリアの確認も兼ね見に行こうとしたタイミングで土煙の中から飛び出す。
『出てきました!ベル選手無事です!…審判も止めておりません!試合続行、試合続行です!!』
あそこまで吹き飛ばされてもバリアを守ったベルに、会場は大盛り上がり。
(今のでも割れねぇの?ちゃんとした姿勢で着地したからって事か。…その身のこなし凄いな)
と感心していた所で、ミナトはベルが既に切り札を使っていたことに気付く。
彼の体の一部が光が纏っており、その姿にかつての友を思い出す。
「…」
『さぁ再び動き始めたベル選手!先程の試合でも後半彼の姿が光って見えました、そして私の目には今の彼も同じように見えます!スピードもあの時と同じ位でしょう!何の魔法かは分かりませんが、ここから試合が激しく動いていくことだけは私にも分かります!!』
{流石に出し惜しみしてたら負ける!でも使ったならもう時間はない、急いで終わらせなきゃ}
そして高速で接近し近接勝負を挑みに行く。
クロムは魔法での迎撃を試みるも、それは当たらず。
『速い速い!今日だけで何度速いだとか凄いだとか言った事でしょう、しかしこれを見たらそう言わざるを得ない!圧倒的なスピード!第四魔法学園アイク選手を彷彿とさせる速さです!』
{よし、近づけた!でも…}
間合いまで詰め寄る事には成功するも、魔法が駄目なら剣を使えばいい、と言う様子で今度は剣を抜く。
速度だけならベルが圧倒しているが、クロムの圧倒的なパワーにより再度突き飛ばされる。
今度は数メートル後方に飛んだ程度だったが、ベルはこのままでは勝てないと判断。
{ルチアさんと違うのは近付いたら勝ちって訳じゃない事。
近距離戦に持ち込んでも圧倒的な力で吹っ飛ばされる、、普通に斬り合ってたら勝てないな…}
数秒だけ考えた後、再び動き始める。
{欲しいのは一瞬の隙!一瞬だけでいい!}
「…」
何か策でも思いついた様子のベルに対し、この試合…と言うよりもうずっと表情を崩さないクロム。
自信によるものなのか、見えていないだけで本当は何か思っているのか。
真相は分からないがそのポーカーフェイスによって相手にプレッシャーを掛けているのは事実である。
(ベルがアフィスをどこまで使えるかによるが、まだ長時間使えるほどではないはず。
この段階で使い続けてるって事は、勝つ算段があるんだろうけど…あいつに通用するかどうか)
アフィスを使った以上、短期決戦だと分かっているこの試合。
ベルは欲している一瞬の隙を作れるのか、何を考えているのか分からないアイクはそれを防げるのか。
決勝に勝ち進むのは勇者の子孫か、現代の化け物か。
今回は武器への魔法の付与についてだよ!
まず、これを扱う上で必須なのは魔法の技術で、効果は基本文字通り。
これを使えば技の威力が上がったり、アフィスみたいに雷属性を付与すれば相手を痺れさせる、とか出来ます。
そして剣の腕もいる、という発言について説明していきます。
これは例えるなら、「素人がプロの道具使っても素人のまま」みたいな感じで、どんだけ威力があっても当たらないし、剣が下手くそなら威力も正直大したことないレベルになります。
因みに剣って言いまくっていますけど剣以外でも斧とか、弓とかにも魔法は付与できます。
剣って言いまくってるのは、一般的に剣以外に付与してる人が少ないからです。
今回は以上!




