第二十八話 地力って奴を鍛えないとさ
アイクとリヴェルが激闘を繰り広げ、観客席も盛り上がりを見せている中。ひっそりと試合の行方を見つめる者が一人…。
{恐らく感づいている奴も一人か二人はいるだろうが…それが俺だとはまだバレていないはずだ…。
まだここにはもう少しいる必要がある、、だが捕まれば元も子もない…退き際は見極める必要がある}
ミナトが先程から探していたそれを見つけるのはまだ少し先の事…。
{暫く続けてみてるけど効果薄そうだな…}
幾ら速度で搔き回そうとも崩れない防御。
状況を動かす為アイクがそ攻め方を変えようとした時…。
「もういい」
「?」
「貴様の剣は分かった」
「そうですか、、こっちはそろそろ貴方の剣も見てみたいな」
「…言われずともそのつもりだ。覚悟はいいな」
そう言うとリヴェルが構えを変える。
彼の目から攻撃が来ると察知したアイクは咄嗟に防御しようとするも、先程まで少なくとも十メートルは離れていたはずのリヴェルが既に目前まで迫っていた。
{はっっっや!}
『速い速い!アイク選手も物凄く素早い動きでしたが、リヴェル選手もそれに勝らずとも劣らない程の速さです!』
「流石にこの程度は防ぐか、、ならこれはどうだ」
更に近距離から連撃を繰り出すリヴェル。
一応これも何とか防ぐが、どちらが押しているいるのか、そして両者の地力の差は誰が見ても分かるものだった。
{いつも誰の相手してると思ってる!あれに比べたらこの位は何とか…!}
「ほう、その粘る姿勢は素晴らしい。だがな…」
一度距離を取り体制を整えようとするアイクにリヴェルは告げる。
「確かに貴様は速い、その一点に絞ればこの私よりも上だろう。
だが純粋な剣技では私の方が上の様だ。更に!」
今度は氷属性の魔法を使用し接近の速度を上げる。
「どうやら魔法も得意ではない様子。つまり、素早さ以外の全ての点において私は貴様を上回っているという訳だ」
{魔法を使ってさらに速度を上げた!更に氷は残るから道も制限される、スピードが封じられれば本当に終わる!}
何とか現状を打破しようとアイクは様々な手段を講じてみるが、ことごとく通用しない。
純粋な剣技では勝てないと理解し、唯一自分が勝っている点であるスピードに頼った様に見える攻撃。
{何か、何か策!今の僕に出来ることは!?まだあるはずだ!}
粘ってはいるが、全く勝利への道が見出せないアイク。
「…諦めない姿勢は本当に評価しよう。しかし、もう終わらせる」
{来る!最後の攻撃だ、ここがラストチャンス!}
そう直感したアイクが考えた次の行動は…。
「…どう思う」
「俺?」
試合を観戦していたトロールがミナトに尋ねる。
「お前以外に居ねぇだろ。で、正直この試合どうなると思う」
その問いを聞き、少し考えた後ため息をしてからミナトが答える。
「アイクの武器は速さだ。リヴェルって奴も相当速ぇけど、速度だけに絞ればアイクの方が上だ。
でも剣の腕ではリヴェルが勝ってる、だからここまで攻撃が通用しない。
そして今のこの状況、お互い最後の衝突に賭けているが、どちらが有利かは明らかだ」
「…」
「アイクが勝つためには速度を活かすしかねぇ、だがら間違いなく最速の攻撃を繰り出す。
リヴェルも同じく最速を出そうとすれば、速度で勝っているアイクもどうにか出来るかもしれねぇ。
だがリヴェルはそうしない、スピードではアイクに勝てないと分かっているからだ。
だから速度は落とす、そして確実にカウンターが出来る速さで動けば、後は精度の高くないアイクの攻撃を返すだけでいい」
「…そりゃつまり…」
ああ、と言って試合を再び見つめるミナト。
両者が共に動き出す。ミナトの予想通りアイクが速度で上回る。が、速度を落としたリヴェルの正確なカウンターを喰らい、バリア破損。
勝者はリヴェルとなった。
試合が終われば、黙って立ち上がるミナト。
「どこ行くんだ?」
「…ちょっと会いに行って来るだけだよ」
とだけ言ってどこかに行ってしまった。
残されたトロールは誰に?と思っていたが、ミナトの表情を見てそれを聞くことはしなかった。
(どっちが勝とうがそろそろ片付けようとしてたんだ。ちょうど今なら心がスッキリ出来るおまけまで付いてくるかもな)
その後暫くミナトを見た人間はいなかった。
今回は短めに、聖魔祭の入場方法だよ!
観客として入るだけなら、チケットを買えば誰でも入る事が出来ます。
しかし対人販売なので例えば指名手配犯とか、魔族とかが潜り込んだりするのは難しい仕組みであり、特に今年は連続殺人事件などもあったので警備が例年よりも厳しかったです。
今回は以上!




