第二十三話 トーナメント戦ってテンション上がるよね
試合会場全体に指示が聞こえる。
「制限時間により試合終了。只今より転移を開始します」
その声が響き渡ると、直ぐに転移魔法が発動。
生徒達全員がヴィーンゴールヴに戻される。
(ふぅ、終わったか…っ!)
転移で戻された瞬間、何かに気付いた様子のミナトは観客席を凝視。
「ミナト、どうしたの?そんな驚かなくても…」
その行動に違和感を覚えたアイクが声を掛ける。
(今のは気のせい……?いや、どちらにしろ警戒は必要か…)
「…ああ、ちょっと疲れたかも」
「試合中ずっと探知し続けてくれてたもんね、お疲れ様」
「そりゃお互い様だろ?」
この後試合結果の発表があり、勝利したのは第一魔法学園であると知らされる。
試合も結果発表も終わったので、全員が宿舎に戻る。
「二位か…結構悔しいね」
「届きそうな点差だけに、余計な」
(結局あの後、第一魔法学園が圧倒的な数で敵を蹂躙。
索敵の面でも能力が高かったのか、奇襲も効かなかったらしいし。
捨て身で攻撃仕掛けても無駄っぽいし…反省するなら敵を動かす意識が無かった事かな。
戦場をコントロール出来る奴が勝つ試合だった、あいつらは裏で色々してそうだったし)
ミナトは帰り道一人反省会をしていたが、もう一つ気掛かりが出来ていた。
それはヴィーンゴールヴに転移した瞬間に感じた気配。
直ぐにその気配は感じられなくなったが、先日聞いた国内で起きている連続殺人事件の事も含め、ミナトは警戒を強めていた。
(後で先生にも一応言っておくか…)
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ー翌日ー
個人戦のトーナメント表を確認できるのは当日からであり、正に今発表されようとしていた。
(初戦に同じ学園の生徒とは当たらないらしいけど、うちは今年出場者数多いし、割とすぐ誰かと当たりそうだな)
「あ、出たよ!あれ!」
そう言われて発表されたトーナメント表を見るが、ミナトは特にリアクションせず、淡々と名前を確認していっていた。
「ミナト冷静だね!?僕はドキドキしてるよ…ってあった!」
(初戦の相手は…知らない、っつーか殆ど全員知らないし。他の皆といつ当たるか確認するか…)
「えーって事は、僕がミナトと戦うとすれば準決勝か…」
「そこまでお互い勝ち残りたいとこだけど、俺は先にフレアさんとか」
「二回戦だもんね、応援し辛いなー、二人が当たったら」
(他も良い感じに散らばってるな…。もしクロムと当たるとしたら決勝だろうけど、あっちにはベルもルチアも居るのか。魔境だなー)
トーナメント表を見た反応は、人によっては余計ドキドキしたり、そこまで興味が無い、という様子だったり人それぞれであった。
「つーか俺第一試合か、もう準備しに行ってくるわ」
「頑張ってね!…ってそれでいいの?」
「?何が」
試合の準備をしに行くミナトにアイクが一つの疑問をぶつける。
「この前武器を新調したって言ってなかった?」
「あれか。あれはまだいいかなって。先ずは学校から配られてるやつで様子見するよ」
聖魔祭では特殊な魔道具などでなければ、基本武器は何でも持ち込みOKである。
大半の選手は学校から支給されている物を使うが、市販で売られている武器を使う生徒も居る。
(ちゃんと実力だって証明したいしな)
何か武器を持ってきている様だが、ミナトの負けず嫌い精神が出たのか先ずは多くの選手が使用する武器を使うようだ。
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ミナトが試合の為にコートに向かっている最中に、それは始まった。
『さぁ始まってまいりました!聖魔祭個人戦一年生の部!』
(ん?何これ)
ヴィーンゴールヴに響き渡る謎の声に一部の生徒は困惑を露わにしていた。
『実況は昨日に引き続き、第四魔法学園三年モニカが務めさせて頂きます!』
(昨日もやってたの?)
恐らく拡声魔法を使って実況をしている人物に疑問を抱きながらも、足を進める。
『初戦第一試合は第四魔法学園のミナト選手対第五魔法学園のバジル選手です!』
「ふふふ…俺の魔眼の前に平伏すがいい!」
(癖強いなー。偶にいるんだよなこういう奴)
「それではお二人にバリアを貼らせていただきますね」
そう言うと審判は魔法を発動させる。
(おぉ、これが)
『皆さんご存知ではありますでしょうが、個人戦のルールは相手のバリアを割る事。自分のバリアが割られる前に相手のバリアを破壊する!非常にシンプルなものとなっています!』
「悔やむならこの俺と初戦で当たってしまってた自らの運を恨め!」
若干相手のキャラに引きつつも、礼をするミナト。
「それでは、試合開始!」
『さぁ審判の合図により試合が始まりました!果たしてどちらが勝者となるのか!!』
今回は実況のモニカさんについてだよ!
彼女は一年生の頃から聖魔祭の実況を担当しており、観客からは「お!今年もやってるねぇ」という具合に気に入られています。
彼女が一年生の頃、担任の教師に土下座で実況の役をさせてほしい、と頼んだところ、最終的に大会運営もそれも許可し、前代未聞の聖魔祭実況役が誕生しました。
拡声魔法を使用して会場全体に声を響かせていますが、彼女の美声からか実は隠れファンがいるとかいないとか…。
今回は以上!




