第二十一話 分からないって怖いし不安にもなる
「狙えそうな相手減ってきたね…。どうする?」
「まだ試合も中盤だし、もう少しこのままで行こう…とも思ったけど」
そう言いかけたところで後ろを振り返り、一人一人の様子を見る。
(流石に俺達が走り過ぎたか、、このままじゃ全員最後まで持たないな)
「…一旦本隊と合流しようか。今後の立ち回りの事話してくる」
ミナトとアイクは本隊に合流し、数人が交代で警戒態勢を敷き全員が少しの間休むことに。
その間ミナト等数人で今後の立ち回りについての話し合いが始まった。
「さて、ここで休みを取った後について考えていきましょう」
「やっぱり動き方は変えなきゃいけないよな。もしこのままいったら消耗したタイミングで一斉に狙われる、そしたら人数で負けてるうちはお終いだ」
「ええ、ですがまだポイントは稼ぎ続ける必要があります。それかどこかで一気に稼ぐかですが…」
「…」
「やっぱ第一が動き出した時が勝負か」
「多人数が入り乱れる戦場なら、付け入る隙もありますからね。
現在はうちのチームが高順位でしょうし、あともう少し稼げれば何とかなりそうですね」
(まだ動かない第一が気掛かりだ、終盤に仕掛ける気か?)
「ではこうするのはどうでしょう。
陣形を少し変えて、もう少し慎重に動きます。敵の動向を素早く察知して、不利な様なら即座に退いていきましょう」
「陣形は?どう変える」
「全体的に縦に伸ばしていきましょう、そうすれば少なくとも囲まれる事はありません。そして敵を見つけたら即座に情報を伝達出来る位置関係が望ましいです」
「オッケー、なら判断を下す人を決めといた方が良いな。サヴェリオ、引き受けてくれるか?」
「分かりました、クロム氏もよろしいですか?」
黙って頷く。
「もし私が脱落すればその後はクロム氏にこの役を担ってもらいたいのですが、問題ありませんか?」
「問題無い」
(頼れるねぇ。自分が脱落すれば、って事は本来ならクロムにその役はお願いしたくなかったのか。
かく言う俺もサヴェリオに頼んだわけだけどさ。
クロムは存在自体が囮みたいなもんだし、何というかうちの最後の砦感あるんだよな)
この後もうしばらく話し合いが続いた後、再び第四魔法学園は動き始めた。
(先頭には俺、最後尾にはクロム。そして俺の後ろには直ぐに援護に来れるアイクと、クロムの二人前には偽の大将役のフレアを配置、か)
新たな陣形を組み、進み始めて直ぐ。
「っ!」
何かを察知したミナトが足を止める。
「!相手の人数は」
そのミナトに即座に追いつき、敵の人数を聞くアイク。
「恐らく四人…だけど妙だ」
「どういうこと?」
「多分相手はこちらの事を先に察知していた。その上でこちらに向かってきている」
(何だ?俺より先に探知できた時点で相手はかなりの手練れ、もしくは大人数で陣形を組みこちらの後方の味方を見つけて知らせたのか?この速さで?いやどちらにしろ妙だ)
「止まれ」
ミナトはそう考えていた内に視界内に入って来ていた相手に向かって言った。
相手は第一魔法学園の生徒で、中にはミナトも知っているベル・エレディータも居た。
「後ろにはかなりの数がいる、お前たちに勝ち目はない」
{何の忠告をしてるんだ?戦うならここで一気に潰さないと。相手は第一魔法学園、増援が来れば人数で押し切られるのはこっちだ}
攻撃を仕掛けるでもなく、退くでもないその行動にアイクは困惑していた。
らしくない、と思うほどに。
「こんにちは、第四魔法学園のお二人さん。まぁこれから増えてきそうだけどね」
アイクの後ろにいた生徒達を見てそう言うベル。
「…何故こちらに向かってきた」
「うーん、、、お話がしたかったからかな」
「何?」
「でもクロム君はここに居ないみたいだから、話すことは減ったかな」
(クロムに用だと?本当に何なんだ)
「あ、そうだ。忠告しとくけど、もし戦う気なら辞めといた方が良いよ。数が多いのはこっちだからね」
そう言って後ろからやって来る第四魔法学園の生徒達に牽制を入れる。
「悪いがあまり長く話したくはない。要件を言ってくれ」
「強いて言うなら、君達を知るために来たんだよ」
(知るため…か)
{何を知りに来たっていうんだ、戦うつもりじゃなさそうだけど}
「…それで、何か分かったのか?」
「んー、、君には何か感じるものがある。って位かな」
聞こえてきた言葉に驚きながらも、小さく笑みを浮かべながらミナトは言った。
「そっか」
と一言だけ呟いた。
周囲の生徒は全員困惑している様子だったが、その内の一人がベルに忠告する。
「もう時間だ」
「うん、分かってる。じゃあね」
「ああ、また」
そう言って、彼らは来た方向に引き返していった。
「俺達も戻るぞ」
ミナトも、アイクら数人を連れて戻っていった。
「…本当は色々聞きたいけど、、、何で今退いたの?」
その問いに幾つかの意味がある事を把握しながら、ミナトは告げる。
「…多分うちは奇襲に遭う。だから退いたんだ」
「それだけじゃないでしょ、襲われる事ならもっと早い段階で気付いてたんじゃないの。
何で…わざわざあの人達と話をしようと思ったの?」
「いや、襲われる事に関して気付いたのは丁度話をしている最中に何となくで気付いただけだ」
(…聞きたいのはそっちじゃないって顔だな)
「気になる奴が居たから話しただけだ。それ以上も以下も無いよ」
「…」
結局それ以上の会話はなかった。
そして引き返して行くと、ミナトの予想通り第四魔法学園が他チームから攻撃を受けており、初めてチーム全員を巻き込んでの戦闘が起こっていた。
今回は本編とは関係のないタイミングだけど、この世界の苗字についてだよ!
まず苗字はあってもなくても大丈夫です。
苗字というのは、昔に貴族達が威厳を示す為に名乗りだしました。
しかし時代が流れていくにつれ、平民たちも少しずつ苗字を名乗りだし始めました。
これに反対していた貴族連中も中には居ましたが、第一魔法学園を創設した平民出身のアレウスが国王より苗字を貰い名乗りだした辺りから、そんなことを言う貴族たちも徐々に減っていき、今のような形になりました。
苗字を強制したり反対したりする人も居ないため、今は苗字があったりなかったりするのです。
今回は以上!




