第十八話 開幕ってテンション上がる
「おーここが…」
(最後に来たのは…あいつの試合を見に来た時か…)
ミナト達は今年度の聖魔祭会場【ヴィーンゴールヴ】の前に来ていた。
聖魔祭本番前に会場を見ておきたい、という事で先生の許可を得て一組の生徒数人が宿舎から会場に足を運んでいた。
今年の会場が自国であった為ミナト等は一日で会場まで着く事が出来たが、他校の生徒達はもっと長い時間をかけて会場に向かっている。
「遂に明日かー、、」
「もしかして緊張してる?」
「ちょっとだけね。ミナトはそういうの無いの?」
「無いな。緊張なんてしたのは人生で一回位だよ」
「ならその一回が気になるかも…?」
(魔王を倒した後に王城に呼ばれた時はちょっとだけ緊張したなぁ…。俺とケレス以外の皆は平気そうだったんだよ確か)
かつての仲間達との思い出が蘇る。
その時のミナトの顔は、楽しかった事を思い出しているのだろうが、どこか寂しそうで、儚げに見えた。
隣でその顔を見ていたアイクは、そう感じていた。
いつか消え去ってしまうんじゃないかと、、手が届かなくなってしまうんじゃないかと。
「…随分と前の事だよ。それよりそろそろ戻らないといけないから帰るぞ…ってどうした?」
「……ううん、何でもない。明日は勝とうね!」
「勿論!個人で当たったら手加減しないからな」
「それはいつもでしょ」
だが、今はここに居る。
直ぐ隣に彼は居る。
先の心配よりも直ぐ明日にある事に集中しようと、そう自分に言い聞かせながら宿舎に戻った。
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ー翌日ー
「なぁ、今年の一年生はどうなんだ?」
「どうだって何が」
開会式が始まる前、観客席では今年の聖魔祭の結果予想などが飛び交っていた。
「知ってるんだろ?有力な生徒達をさ」
「ふふん、まぁな」
「今年はどこが強そうなんだ?」
「そうだな…今年の第一にはエレディータのとこの跡取りが居る。実力も確かなものらしい」
「エレディータって確か、、第一の校長の家系か」
「代々校長を務めてる名門の出って奴だ。後は第三にもリヴェルっていう奴が居てな。
既にアレキサンドライト級までランクを持ってる。しかもソロで成ったってのがまた。
だが今年で外せないのはな、第四の英雄の息子だ」
「英雄の息子?肩書からもう凄そうだな。他には居ねぇのか?」
「同じ第四に、、何でも入試の試験会場を破壊したとか言われる魔法使いの子が居るって聞いたな」
「試験会場を破壊って…エレディータのとこにしろ、学生で既にアレキサンドライト級の奴も、英雄の息子もさ…。今年は化け物揃いかよ」
「まぁ今年は一年の期待も高いと思うぜ。だから初日からこんなに人が入ってんだよ」
「確かに…いつもなら二日目か三日目辺りから盛り上がっていくイメージだったかも」
初日が一年生の団体戦、二日目が個人戦で。三日目からは二年生、五日目からは三年生というスケジュールになっており、例年は日数が過ぎていくにつれ盛り上がりが激しくなっていく傾向にあった。
が、今年は初日からかなりの活気であり、今年の一年生が期待されているということが分かる雰囲気であった。
「っておい、開会式始まったぞ」
(駄目だ…全然興味がねぇ)
開会式が始まり、恐らくどこかのお偉いさんが話をしていたが、ミナトは殆ど聞いていなかった。
他の生徒も似たような感じだったが、選手宣誓が始まるとミナトの様子は変わった。
「我々生徒一同は~」
(あいつどこかで…)
選手宣誓をしている生徒にどこか見覚えがあったのだ。
「以上!第一魔法学園所属、ベル・エレディータ!」
(!エレディータって事は魔法学園創設者の…。そうか、、この代だったのか)
第一魔法学園創設者、および初代校長アレウス・エレディータ。
魔法学園というものを世界で初めて創設した人物であり、世界的な偉人であるがもう一つ肩書が存在する。
【勇者】
(そっか、お前の…。通りで見覚えがあった訳だ)
これが勇者の血を引く男、ベルとの出会いだった。
今回は聖魔祭のスケジュールについてだよ!
基本は作中で言っていた通りで、初日:開会式をした後一年生の団体戦。二日目:一年生の個人戦。
そして同じ流れで二年生三年生も行っていきますが、閉会式は七日目に行われます。
閉会式は開会式と違い表彰などがある為ですね。
後は個人戦は時間がかかる場合があるので、余裕を持ったスケジュールになっています。
団体戦は時間制ですが、個人戦は時間制限は基本無いので、偶に両者粘りまくって超長期戦になったりします。
因みに他学年の試合は見ても見なくても大丈夫です、見る人がほとんどではありますが。
今回は以上!