第十七話 案外身近な人の事も知らなかったり
「そこまで!勝者ミナト」
「って事はこれで…だよな」
「ああ…これで終わりだ」
「聖魔祭の個人戦出場者が確定したぞー!」
あれから数日後。
選抜選手の座を奪えるのは本番一週間前まで。
そして今日トロールが最後のチャンスとしてミナトに戦いを挑むも敗北。
模擬戦の申し込みは今日の昼休みまでであり、午後の授業中に行われたこの模擬戦が最後の戦いであった。
「やっぱ強ぇな、ミナト」
「最後まで戦い続けたお前の心の方が強いよ」
二組との練習試合以降ミナトに模擬戦を挑んだのはトロール一人であった。
アイク、フレアに挑む者も居たが返り討ちにし続け最後まで選抜選手の座を守り切ることに成功。
最初の一人を以外にルチアに挑んだ者はおらず、クロムに至っては期間中一度も模擬戦を行っていない。
残りの二人ももそのまま座を守り続けたので、サヴェリオ以外の生徒は変わら無かった。
「お前だけだったよ、本気で最後まで選抜選手の座を狙い続けてたのは」
「諦めの悪い所が長所なもんでな」
「いい長所じゃねぇか。団体戦では頼りにしてるぞ」
「ああ、これからも共に精進して行こう」
こうして個人団体両方のメンバー、役割が決まった。
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ー後日昼休みー
「よぉ」
「トロール君、どうかしたの?」
「今はミナト一緒じゃねぇんだな」
「何か先生に呼ばれたってさっき言ってたよ。トロール君も何か用事でもあった?」
「いや、お前の事も探してた所だ」
「?」
昼休み。
昼食を食べ終わった所、急遽ミケーレに呼ばれたミナトは席を外していた。
「あいつ…ミナトについてどう思う?」
「へ?んー、、良い人だと思うよ。強いだけじゃなくて、こっちの事も気にかけてくれるし」
「そういう事じゃなくてな、あいつの強さについてだ」
「…もしかして単に強いだけじゃない、とかそういう話?」
「そうだ。俺は正直異常だと思う」
「異常?まぁ確かにそれ位強いとは思うけど…同い年にはクロム君とかも居るし…」
「あいつも確かに強ぇ。だがミナトはあいつとはまた違った異質の強さだ」
まだ話をいまいち吞み込めていないアイクにトロールが説明する。
「例えばだけど、クロムの強さはルチアさんとかと同じタイプの強さだ。
でもミナトの強さは…何というか、、今迄に出会ったことのない強さなんだよ」
「あーちょっと分かるかも!何て言うのかなああいうの、技術というか…」
「戦闘技術がずば抜けてるのさ」
二人の話に加わってきたのは、最初にミナトに模擬戦を挑んだフラジオだった。
「先程の会話は失礼ながら聞かせて貰っていたよ。僕もトロール君の言っていることに共感したものでね。僕も彼と手合わせしたから分かるのさ」
「あぁ…別に聞かれてても僕は構わないけど。それよりそう!戦闘技術!多分それだ」
「今日俺はあいつと戦った、その時に理解したんだ。あいつは只物じゃねぇってな。
だからお前に聞きに来たんだが…。いきなり聞いたのは悪かったな」
「全然全然。寧ろ僕も知りたかったというか…。ミナトって凄くいい人だし、仲良くしてくれてるとも思う、、けど何か隠してるというか…不思議な部分が多いんだよね」
「…人としても実力にしても、よく分かんねぇ奴だな」
三人の中で謎は深まっていくばかりだった。
「今度の聖魔祭で何か分かる事があればいいな」
「そうだね、本番で戦ってみたらもしかすると何か分かるかもしれないし」
「…でもその前に僕達は団体戦で勝たないといけないからね」
「そうだな。他人の事より先ずは自分にも出来ることだ」
「勝とうね皆、団体戦」
聖魔祭まで、残り僅か。
今回はサヴェリオ君についての説明だよ!
あんまり細かくキャラ紹介するのも違う気がするから、ちょっとだけだけどね。
この前も言っていた通り、入試では筆記試験で満点を獲得。
これは数十年に一度レベルの事なので結構凄いです。
記述内容も素晴らしく、採点した先生曰く「満点以上の点数を上げられないのが残念」との事です。
選抜選手として選出されましたが、剣術・魔法に関しては平均程なので、模擬戦には敗れてしまいました。
ですが団体戦の作戦などは殆ど彼が立案しており、本番では指揮官として活躍が期待されます。
今回は以上!