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忘却の勇者  作者: くろむ
後生一生編
169/175

第百六十三話 所以

ホワイトワイバーンと戦うにおいて、何よりの前提条件があった。

それは邪魔者が入らない事。

確実に相手を一体のみにする事だ。


格上と戦うのなら当たり前に聞こえる話だが、今回は状況的に先ずここからどうにかする必要があった。

作戦会議中すら塞いだ洞窟の入り口を突破しようとしてきている魔物達の存在。

前提としてあいつらが居たからホワイトワイバーンと戦う事になっている。


もし作戦がハマり上手く戦えたとしても、それは入り口を突破され外の魔物達が入ってきたら全て終わる。

逆に外の魔物達を一斉突破しないのは奴の魔法が飛んでくる事を恐れたからだ。後ろを気にしながら戦える数ではないから。


しかし外に出る事へ焦点を当てるのではなく、ホワイトワイバーンを倒すという事を目標にすれば話は変わる。

倒すと言うのなら当然やり合う作戦がある訳で。それつまり向こうもこちらに意識が向くという事。

そうすれば入り口付近への流れ弾も止まるだろう。


突破するならまだしも、食い止めるだけなら少人数でも抑える事が出来た。

狭い入り口が数の差を緩和してくれるから。


となれば必要な役割は決まる。

洞窟内部に魔物達を入れずに食い止める仕事が必要だ。

倒さずとも時間を稼ぐ事が。


そこで白羽の矢が立ったのが、フレアである。

クラス、いや。同学年でも一番と言える動体視力を持ち。あのミナトに、純粋な回避能力だけなら俺よりも高いと言わしめた彼女。

攻撃が得意でなく、時間を稼ぐ事しか出来ないと度々嘆いていたが。今回はその能力が求められている。

広範囲の魔法を多用して来るホワイトワイバーン相手だと、動体視力を求められる事がそこまでない。というのも一因としてあり。彼女の配置は洞窟入り口付近で魔物の足止めとなった。


流石に一人という訳ではなく、入り口を封鎖した当人であるテラを始めとした他三名が同じ役割を持ち。

現在ホワイトワイバーンと戦っているのは計十七名となる。


そしてその中…と言うよりこのクラスで現在、回復魔法を扱える者は一人だけであった。

少々意外とも思えるその人物こそフレアであり。

暫く前から密かに練習を始めていたらしい。


一人攻撃を躱し続けても誰かの役に立つかどうかは分からない。

だから確実に周囲に貢献したい、という思いから習得を志したらしいその魔法は。勿論日が浅い事もあり練度は本職に遠く及ばないが。

使えるだけありがたいし、チームに一人は居てほしい能力である事に変わりはない。


今回であれば喉に負担の掛かりがちなオーズのサポートをしたり。

一発即死レベルである今回は、起死回生と言うよりは掠ってしまったりして出来た小さな傷を癒したい場面。

尚更彼女の回復能力も欲しくはあったのだが。

それよりも今求められていたのが回避能力による時間稼ぎだったからこの配置となり。

フレア本人もそれに対してさほど不満は持っていなかった。


強いて言うなら、自分がもっと強ければ外の魔物達を殲滅して本隊と合流できたのに。くらい。


だが今一番大切なのはフレアがどう思っているかどうかではなく、回復魔法についてだ。

扱えるのは彼女のみで。それも本業には及ばない程の、あったらありがたい。のレベル。

つまりは今重傷を負った場合、助かる確率はかなり低い。





今回の作戦。

皆に共通して一番大事にさせていた事がある。


命大事に、安全を最優先する事。


だから無理に攻撃を続けたりはしないし、回避がおぼつかなくなる位なら一切仕掛けなくてもよい。

少しでもヘイトを引けるならそれだけでメイン火力陣の助けになるからだ。

それにアイクは思っていた。


心のどこかで考えていたのだ。

もし負傷してしまうのだとしたら、それが誰なのか。


勿論傷を負ってしまったらどうやって対処するのかは事前に決めていた。

その時の手筈は皆にも知らせていた。

だが頭から少し抜け落ちてしまっていた……。


目にした光景。

フラジオに寸での所まで炎が迫っているのを見た時、心が途轍もなく動揺して。

一瞬息すら忘れて完全に固まってしまった。


{!?いやあれは…!}


しかし結局フラジオが焼かれる事は無く。

空中にて焼かれるのを待つのみであった筈の彼は少し離れた所まで下がっていた。


あまりの焦りのあまり目に入っていなかったが、よく見れば彼はロープのような物を握っている。


そのまま握られているロープを辿って行くとある人物に行き着く。


「助かったよ…まさか君に助けられるとは。本当にありがとう」


「間に合って本当に良かったや、、、備えあれば、ってのは本当だね」


攻撃の為ホワイトワイバーンの体に張り付いていたフラジオは、相手の魔法に対する回避が遅れ。

このままでは焼かれる寸前だったところ。

投げられたロープを発見。

流石の体の柔軟性を活かした姿勢変化で咄嗟にそれを掴むと、そのまま引っ張られて移動。

回避に成功したのだ。


そのロープを投げた人物こそ、現戦闘においてクラスメイトの大半が悩んでいる中名乗りを挙げた。

かつてミナトと組みたいとオーズに相談していた()である。


実はちょくちょく授業中のミナトの発言を盗み聞きしており。

取れる手段はなんでも使う、備えられるなら完璧に備える、最悪の事態を想定する。と言った考えから学びを得て。

日々自身の向上へと務め備えてきた結果の一つが、今回という訳だ。


{何かに使えるかもと思って持ってきたこれが役に立って良かった!僕でも少しは役に立ててる…役に立ててるよ!}


心の内でミナトに感謝をしながら、彼は再び足を動かし始め次に備える。





その後直ぐさまフラジオの元まで駆け付けたアイク。


「大丈夫だった?怪我は!?」


「彼のお陰でなんとかね……情けない限りだけど。でもまだ戦える、それで少しでも足を引っ張った分を挽回しないとね」


「む、無理はしないで……」


アイクの視点からでは完全にフラジオが魔法を喰らっている様に見えたが、実際には軽く掠った程度だそうで。

魔力による身体防御も行っていたお陰で完全な無傷で生還できたのだと。


柔軟性の優れるフラジオだからこそ取れたロープだがそれでも命が救われたのは事実。

咄嗟に投げた判断をした彼の活躍は大きいだろう。

そして一方のアイクはと言うと……。


{っ…なに気抜いてるんだ僕は!落ち着け!冷静になれ!相手を誰だと思ってる?今だってフラジオ君が死にかけた。本来なら僕が助けなくちゃいけない場面だったのに、周囲への気配りが足りてなかった!

ミナトににも言われたじゃないか!課題を思い出せ!}


何も出来なかった自分への叱責と反省を行っていた。

あの状況ならアイクに責任などないと考えてもよいと思うが、本人の中では問題大ありのよう。


{落ち着け…やれ、やるんだ僕。ミナトを超えるんだろ?なら今はただ目の前の事に集中しろ!集中、集中……}


「ふぅ……」


走りながらではあるが一度深呼吸をし、息を整え。

バチン!と結構思いっきり自分の顔面を叩き気を入れ直す。

吹っ切れたのか、より一層集中が増したような。

覚悟を決めたような強い目をしていた。





再び気合を入れたアイクは周囲を駆け回りながらある考えに至っていた。


妙だ。聡明で機動力もあるフラジオが本当に回避が遅れ魔法を喰らいそうになったのか?


ホワイトワイバーンは確かに圧倒的な魔法攻撃力に、高い魔力防御を誇る強大な魔物だ。

だが動きは少し単純であり。こいつに限らず魔物全体の特徴でもあるが魔法の発動準備は分かり易く。

最初から攻撃の優先度を下げ回避に重きを置いていれば避けられない事も無い。

幾らルチアとオーズが妨害や相殺をして相手の魔法を防いでくれているとはいえ、未だこちらの負傷は目立ったものは皆無。


倒せるかは置いておくとしても、戦闘自体はかなり互角のラインまで迫れている筈だ。


戦闘開始から時間も経ち、相手の魔法の発動タイミングも読め始め。リズムとでも言える癖のようなものも分かるようになってきた頃。

そんな時にフラジオが回避を失敗する?

若干の身内贔屓はあるにしてもアイクからすれば、そんな事は無い。と言える程の実力はある。


{単に集中力が鈍った時だったり、偶々イレギュラーのタイミングだったりとかも考えられるけど……まさか!}


この時気が付く。

自分自身も脳内で言っていた筈だ。知性の高い魔物だと。


「皆気を付けて!こいつ……」


嫌な結論を導き出すや否や、速く皆に伝えなければと告げようとした途端。

ホワイトワイバーンが天災級の魔物と数えられるに至る所以を見せ始めるかのように。言葉を言い切るよりも速く魔法は放たれた。


「避けて!!!」


意味は無いかもしれない。明らかに遅い警告をせめてもと叫ぶ。


次の瞬間、五名ほどの生徒の元へ特大の火球が飛んでいく。

回避など到底間に合うタイミングではないそれを前に、死を覚悟した者も多くいた中……。


その近くに居た生徒の一人が直前に風魔法を発動。

突風を起こして五名を吹き飛ばしなんとか炎から逃れさせる事に成功。

魔力伝達速度が異常に速く、ミナトとすら同程度と言われる魔法の早撃ちが特技の生徒のお陰で全員致命傷は避け。

吹き飛んだ際の打ち身程で済む。


{やっぱり、こいつ……}


「全員聞いて!」


なんとか無事な事を確認し安堵はしたが胸をなでおろす時間は無い。

さっきの事で確実な情報へと至ったある事を伝えなければならなかった。


「これまで通り戦ったら駄目だ!奴は魔法のタイミングも撃つまでの時間も全部本気じゃなかった!」


ホワイトワイバーンは知性の高い魔物。戦闘前にそう自分で確認していた事をここで思い返す。


「より回避に専念して!一瞬たりとも気を抜いたら本当に全滅する!!」


この言葉を最後まで言えたのがせめてもの幸運だっただろう。

直後またしても奴は魔法を繰り出そうと構えており。

警告のお陰で全員さっきよりもワンテンポ速く回避の態勢に移れていた。


{今のは本当に危なかった!兎に角今は変わった相手の動きに慣れる事、分析を止めない事。それと安否確認}


脳内で瞬時にやるべき事を整理し、瞬時に行動に移す。


助けるためとは言え風で吹き飛ばされたメンバーがまだ動けるかどうかを確認しに行き。

まだなんとか戦える。との本人たちの話を聞き作戦続行の旨を把握。

そして今後の動きについてより回避、注意引きに専念して攻撃は大丈夫だと言い。

次の場所へとまた駆け出す。


またしてもルチアを狙った魔法を彼女が相殺させているのを尻目に、次寄った人物は。


先程の魔法から皆を助けた、魔法の速射能力に長けた生徒。ウルの元だ。


{今奴の動きは変わってるけど、一番は魔法の撃ち方。だからこっちも防ぎ方を合わせていきたい……}


そこで考えたのがこのウルとソニアの連携作戦だ。


今回の戦闘中そのソニアは何をしていたかと言うと、ずっと隅っこから魔法を撃っていた。

本当に隅っこの方からちまちまと。


硬化があるのかどうかは分からないが、塵も積もれば山となるを信じて撃ち続けて貰っていたのだが。

これまでのやり方を変えなければならないならそこも変えていこう。

アイクはある生徒の話を思い出す。


魔法を撃つ時はそっちに魔力を割いている、だから防御能力は多少なりとも下がるはずだ。と。


オーズが魔法を阻止する役割を担えると判断したのはこの話があったからというのもある。


{もし相手の攻撃頻度が上がっているなら当然魔力の割合は魔法発動に振られている筈……なら威力が低くてもタイミングとポイントさえ合わせれば!}


そしてそれを可能と出来る生徒がウルとソニアなのだ。

洞窟の隅の方から魔法を飛ばす事で逆に狙われる事を避けつつ、好きなタイミングで撃ちやすい彼女と。

射程距離は並だが発動速度が異常に速い彼なら普通なら無理なタイミングでも魔法を撃ち込める。


威力は並だがそれが二つともなればもしかするかもしれない。

魔法を発動しようとする相手の口元に同時に撃ち込めば発動の阻害。とはいかずとも妨害、遅延にはなる可能性がある。


僅かでも可能性があるなら試したい今の状況。

思い立ったら即行動。早速指示を飛ばす。


「次の相手の魔法はウル君とソニアさんに防いでもらう!!狙うのは発動前に口元を空けてるところを!」


「「!!」」


「防御が薄くなってる今ならそれで発動を妨害できるかもしれない…けど!もし無理だった時の為にオーズ君も備えておいて!!」


なるべく全員に聞かせる為大きな声で、素早く。且つ狙いの標的にならぬよう駆け回りながら伝えていく。


「どっちにしてもオーズ君の魔法で怯んだ所にルチアさんの魔法を合わせて攻撃を仕掛ける!ただその時も回避最優先!攻撃を当てるよりも躱す事を考えて!」


倒す事よりも生き残る事を優先する姿勢は貫きつつ、それと同時に攻勢に出る構え。


{相手の動きが変わり始めたタイミングで攻めに出るのはリスクも大きい。でも、逆にここで今まで通りを続けても後手に回るだけだ!ならいっそこっちから仕掛ける!}


堅実志向であると同時に強気で攻めの姿勢を忘れないのは、ミナトの影響が強く出ている部分だろう。

しかしクラスメイト達もこの考えに異論などなく。

強いて言えばそこそこ大事そうな役目を任されたと考えたソニアが少し気怠そうにしている位だ。


それでもやるしかないか、と狙いを定め撃ちぬく者の目をするのもまた実に彼女らしい。




全員がその時を待った。

勝負を決める時が来たのだと分かったから。


動き出したホワイトワイバーンを見て、最後の覚悟を決める。


口元に膨大な魔力を集め魔法を発動しようとする姿を見て最初に動くのはこの二人。

徐々に肥大化していく口に狙いを定めて。撃つ。


ほぼ同時に着弾した二つの魔法は、確かにそれだけで魔法の発動を防げるものではなかった。

だが時間は稼いだ。

魔法を撃たれ、それが当たったと言う事実が奴の動きを一瞬止め。躊躇わせ。


その隙によって生まれた時間が後の彼らに繋がる。


次は俺の番だと、構えていたオーズが続く。

深く。深く息を吸い込んでから咆哮を挙げる。

絶対に勝つのだと言う意思を込めて。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


放たれた音波魔法は直撃。発動準備に入っていた魔法は解け、一時の行動不能状態に。

その瞬間次に動くのはルチア。


{最大出力!ドラウプニル・スーパーノヴァ!!}


三属性混合魔法を範囲、威力共に極限まで高めて放つ。

これまでの蓄積もありホワイトワイバーンに膝をつかせるほどの威力。更にこの魔法は単純な攻撃力だけでなく、暫くは痺れによる麻痺で行動を阻害するという効果まである。


「一斉攻撃だ!ここで畳み掛ける!!」


後衛組がここまで相手に隙を作ってくれたのだ。

自分達も役割を全うしなければ、とばかりにアイクに続いて前衛組が接近。

各々が持ちうる全てを使って仕留めに掛かる。


「アイク君こっちだ!」


「!」


最中、フラジオが呼びかける。


{さっきあそこまでギリギリを狙ってようやく見つけたんだ…!彼に報いる為にも!}


「あそこが核だ!合わせて!」


ずっと探してきた相手の核。

破壊すれば勝ちの絶対的な弱点を見つけ出していたフラジオは、先程寸前で助けられた時の事を思い出しながら剣を構える。


{体の重さなんて関係ない!なんの為に鍛えてきた?助ける為だろ、なら今!今全部出し切れ!}


鈍くなってきている体を気合で動かだし、アイクも言われた箇所目掛けて剣を振るう。


その剣は決して意識していた訳ではないが、特訓中ミナトが教えてくれた双剣の()に酷使しているもので。

執念までぶつけるようにして振るった剣はようやく相手の鱗を傷付ける事に成功した。


「っ!!」


両者共、いける。と同時に思った。


これまで通じなかった剣がようやく傷をつけたのだから。そう思っても全く悪くは無いのだが、あと少しだけ届かなかった。


確かな手応えを感じた直後、アイクが感じたのは命の危険。


「全員離れて!!!」


鬼気迫るその呼びかけに皆考えるよりも先に体を動かし、距離を取ろうと走り出した。

胴体部まで乗っていて最も回避が遅れる位置に居るフラジオとアイクも。

今回は今までで一番の速度で撤退を遂行。


体部分から飛び降り、更にもう一歩踏み出してから後ろを見てみると。

そこには目前まで迫っていた蒼炎があった。


全身から噴き出すように炎が出てきていたのだ。これまでの口元からの発動と違い。


{アイク君の警告がなければ丸焦げだった……!さっきのものより確実に危険度が高い!}


自身が焼かれかけ周囲に助けられた時よりも危険を感じたのだと。


アイクも自分の判断に驚きと感謝をするのだが、それは後の話しで。

今は兎に角次の事しか考えてしなかった。


{さっきのでも仕留めきれなかった!あと一回、一回攻撃のチャンスがあれば!でもあと一回だって?それを作るのがどれだけ……!}


空前のチャンスで決めきれなかった自分に苛立ちを感じつつも、次どうするのかについて考えは向いていた。

向いてはいたのだが、思い付きはせず。

頭はぐちゃぐちゃになりかけていた。


{多分オーズ君もルチアさんも。それにずっと魔法を撃ち続けてるウル君やソニアさんも限界が近い、後一回は出来るかどうか分からない!でもただ突撃してもさっきの全身から発動させる魔法を喰らって終わり、そもそも暴れられた場合振り落とされない為にしがみ付くが精々だ!

考えろ考えろ考えろ!思考を止めるな、道を切り開け!}


考えは回っている、だが冷静でなかったのかもしれない。

そんな時に目に写ったのは、手に握られている双剣だった。


「あ……」


この武器を使う事を薦めたのだから、買わせるのも申し訳ないと言って貰った物。

宝物のように思い大切にしながも相棒のように思い。

あれからずっと。本当に毎日握り続けてきたこの二つの剣。


{落ち着け……目の前の事に集中、集中だ}


この切迫した状況の中、突如として深呼吸を始める。


確かに一世一代レベルのチャンスだった。

初めての作戦。奇襲だったから僅かに隙が生まれ、その隙のお陰でオーズとルチアがこれまで以上に発動に時間を掛ける事ができ。

結果として核のある位置に傷をつけるにまで至った。


だが決して悲観してはいけない。判断を鈍らせてしまうから。

かと言って楽観的であっても当然いけない。驕りは勝ち筋を潰す事と同義だから。


とのミナトからの教えを忠実に守り、正しく冷静でいる。


僅かな時間で行ったこの精神統一こそが。

アイクをもう一段階向こう側へと導く。

あと少し届かなかった領域まで至らせるに必要な工程だったのだ。


ミナトが自身を超える存在だと確信した少年は今。


開花の時を迎える。

次回は流石にもうちょっと速めに挙げられたらな……なんて。

どの道課外授業の話は次回でちゃんと終わらせます。それだけは絶対の約束として、ね。

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