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忘却の勇者  作者: くろむ
聖魔祭編
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第十五話 作戦会議って傍から見てる分にはワクワクするよね

一組と二組による練習試合が行われた翌日。


「何か昨日よりも緊張するね」


「まぁ話し合いとかより体動かした方が良いってのは分かる」


今日は団体戦の作戦会議、と言うことで各クラスから代表が三名ずつ集まる事に。


一組からはミナト、アイク、そしてフレアが代表として出向いていた。


「じゃあ空けるよ」


指定された教室に入れば、既に来ていた二組の生徒と各クラスの担任の教師が座っていた。


「遅れちゃいましたか、すいません」


「いいえミナト氏。まだ集合時間まで五分ありますので、遅れてなどいませんよ」


「ああ、、どうも」


三人も席に座り、場に全員が揃う。


「それでは全員揃われたようなので早速話し合いを始めさせて頂きます」


(今回は基本的に先生は何も言ってこないって話だったな)


これは今回に限った話ではなく、この学校は基本的に生徒の自主性を重んじる方針であり。特に聖魔祭に関しては最初の選抜選手の選定以外は殆ど何も関わってはこない。


「先に名前をお伝えしておきます、二組のサヴェリオと申します」


「じゃあこっちも名前を、ミナトです。よろしく」


「よろしくお願いしますミナト氏。アイク氏とフレア氏も」


「あぁ…名前知ってもらっていたんですね」


「選抜選手の顔と名前位ですがね」


(何かインテリ感強いけど悪い奴ではなさそうだな。ていうかサヴェリオって確か…)


「ええと、そちらはクロム君と…オスカル君だよね」


「よう僕の事まで覚えててくれましたね、よろしくミナト君」


(昨日先生に聞いててよかったー。最初にスカーフ取った奴がオスカルだって)


「クロム君も今日はよろしくね」


「…ああ、頼む」


(うーんこの既視感…)


軽い挨拶も交わしたところで、本格的に聖魔祭の話が始まっていった。


「本日一番の議題はやはり大将をどうするか、という所になります」


(まぁやっぱり安直に考えるなら選抜の誰か…だけど)


「やはり選抜選手に選ばれている人達の中で選ぶのが確実ではあります。個人の実力が高い人が選ばれているのですから。その方向で話を進めても大丈夫ですか?」


全員が賛成し、話し合いは続く。


「ですので、先ず私は候補から外れます」


(やっぱりそうだよね?)


「恥ずかしながら、、、私は模擬戦に敗れてしまったので…」


非常に悔しそうな表情を浮かべていたが、次の瞬間には切り替えて話を進めていた。


「次にミナト氏とアイク氏も候補からは外れると考えます」


「やっぱりか」


「え?」


「これは別にお二人の実力が劣っているという訳ではありません。

先日の活躍から、本番でもお二人には先行して動いてもらいたい。お二人の攻撃力は大会屈指のものとなるでしょうからね。大将がわざわざ危険度の高い立ち回りをするのはリスクが大きいかと」


「え?ああ、、それは、、、どうも」


何だかんだで褒められて喜んでいる様子のアイクだったが、話は進む。


「そしてここには居ないルチア氏ですが…彼女は体術より魔法を得意としている様ですので、先日と同じような動きが良いように思います」


「俺もそれでいいと思う、あいつ自身も納得するだろうし」


「何でも良いって言ってましたもんね」


(フレアさんは今回ルチアが行くだろうと思ってたらしいけど、本人がああ言ってたしな…)


「残る候補は後三名いますが…。私の意見ではやはりクロム氏に任せるのが良いかと思います」


それを聞いたミナトはやっぱりか、という様子だった。


アイクやフレアも何となく察していたようだ。


「でも、、本当に良いんでしょうか…。勿論クロムさんの実力を疑ってる訳じゃないけど、他校にまで名前が知れてるってこの前聞いたから…」


(アイクの意見も真っ当なものだ。この前知ったけど父親が英雄とか呼ばれてるらしいし、入試試験の結果も広まっていたとして不思議ではない)


「その可能性は確かに高いでしょう。ですがそこを逆に考えて裏の裏を取りにいく、とでも言いますか。

しかし私がクロム氏を推薦した理由はそれだけではありません。圧倒的な実力です。

恐らく彼と真っ向から戦って勝てる生徒など上級生でも少ないでしょう」


(上級生等の実力を俺は知らないが、クロムを大将にするのは正直俺も良いと思う。大将が強ければ強いほど護衛の生徒を減らして攻撃に人数が割けるし)


「…」


クロムも特に何か話すことは無く、その場にいた全員が先程の意見に納得していた。


しかし新たな提案をしたのは…サヴェリオだった。


「…これはあくまで懸けのような提案ですが」


(?まだ何かあるのか)


「敵から大将だとバレることもなく、尚且つバレたとしても問題の無い作戦があります」


「えっと、、どういう事…?」


「話してみろ」


皆が困惑する中続きを聞こうとしたのはクロムだった。


「ミナト氏、大将をやってみる気はございませんか?」


「え?…っていうかさっき俺は候補から外れるって」


「もう一度言いますがこれは一つの提案です。

作戦は先ず先程言った通り、ミナト氏とアイク氏が基本的に先行して攻撃重視の動きをします。

全体の布陣として前衛と後衛に分かれておき、その後衛には偽の大将とクロム氏を。

そして偽の大将役としてフレア氏です。あからさまではない様にフレア氏を守りつつ行動していきます。

これだけでお相手からミナト氏が大将であるとバレる可能性はかなり減るでしょう。

もし万が一バレた場合はミナト氏は後衛に下がり、攻撃にはクロム氏に出てもらいます」


「いや、、、まぁ確かに大将が最前線で動いてるとは思わないだろうけど…」


「リスクが高いのは承知の上です。これはミナト氏の実力を見込んでこそですが」


(もしも本当に実行するなら確かにリスクは高いが…)


そう思ったミナトが目線を向けたのはクロムだった。


「…良いのではないか。元々リスクを取らねば勝てぬ戦いだ」


「クロム氏…。ぜひ皆さんも率直な意見をお聞かせください」


全員が頭を悩ませていたが、次々と回答は出ていった。


「僕も賛成かな、ミナトが本当に凄いってちゃんと知ってるし」


「わ、私も同じ意見です」


「クロム君もそう言ってる事だし、僕も賛成で!」


この流れは予想外だったのかサヴェリオ自身も驚いていた。


「…ミナト氏、どうでしょうか」


ミナトは少しだけ考えた後に、すぐに答えを出した。


「皆が良いって言うなら俺も乗ろうかな。精一杯やらせてもらうよ」


こうして大将が決まったことにより、今回の作戦会議は終了となった。


ミケーレが何か考え込んでいる様子だった事に気付いたミナトだったが、今日は後で報告をしに行く予定があったのでその時に聞けばいいや、と思い教室から出た。


「いやーミナトとんでもない役任されたね」


「それで言うと二人もだろ」


「私は囮役だから…。二人の方がよっぽど大変そう」


{…学園生活を楽しんでもらえてるようで何よりだよ}


遠い昔の自分を思い出すミケーレだった。

今回は突然ですが冒険者、及び冒険者ギルドについての説明だよ!

冒険者になる為には冒険者ギルドに登録して正規の手続きを踏む必要があります。

でないと魔物を討伐してもお金は発生しません、なのでギルドに加入していなければ無職なのです。

因みに冒険者登録するのにソロだとかパーティーだとかは関係ありません。

そしてギルドにはその人の実力に合った依頼を受けるシステム、いわゆるランクが存在します。

ランクは下から、タルク・コーラル・タンザナイト・アレキサンドライト・コランダム・ダイヤモンド・オリハルコン、となっています。

一般的にタンザナイトから中級、コランダムからは上級冒険者だと言われています。

オリハルコンは例外的なランクであり、歴史上オリハルコンまで到達した人物は二人のみです。

ランクを上げるには依頼の達成数や、強力な魔物を討伐するといった条件があります。

今回は以上!

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