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忘却の勇者  作者: くろむ
後生一生編
154/175

第百四十八話 まだまだ続く

「やっっっと、着いたねー」


「帰りの方が長く感じたって気持ちはよく分かる…」


「うん……ただいま僕らのリベルタ寮!」


第一魔法学園への留学期間が終わり、再び馬車に揺られて本陣に帰ってきたところだ。


行った時と同じで今度も着いた頃には日が暮れ始めており。

綺麗な茜色の空が広がっていて、時間的にお腹が空き始めていたりと

一気にどっと疲れが押し寄せてくる感覚。


「でも安心するねこの感じ、向こうは何から何までデカかったし」


「やっぱり慣れたここが良いよね」


ルチアさんはどう?と続けて話題を振るフレアも、少しホっとしている感じだ。


「まぁ……勝手が分かってるのは良いかな」


「だよね!じゃあ中入って皆荷物置いて休……あ、そっか。ミナトはこれから家帰らなきゃなのか」


「んー、、まぁそうだな」


「今からでも申請すれば一日だけ使うとか出来そうだけど、、、それも大丈夫?」


「大丈夫だ、気遣ってくれてありがとな。

でも俺結構旅には慣れてるから多分皆ほどは疲れてないと思う。だからそっちも早く休んで、明日の学校に備えるんだぞ」


そう言い残して、ミナトは一人歩き出して行く。


「……」


その後ろ姿を見つめる者が居る事に気付かないまま……。

















遠征に行ったり他の報告を聞いたりなど諸々の用がある為、いつもの酒場に向かって歩いていた時。


「おい」


「!」


そんな彼に話しかけてきたのは仲の良いクラスメイトではなく。


「…クロム?」


まさかの人物。

最近話す事が増えてきたとはいえ、校外となるとかなり衝撃的な事だ。


「確かお前は寮じゃないんだっけ…それで、なんの用だ」


一瞬焦ったりもしたが、冷静になって質問する。


「お前、ベル・エレディータと手合わせしたらしいな」


「……は?」


「本人から聞いたから事実なのは知っている」


「そうだけど、、、それでなんだ?聞きたい事でもあるってか」


「今度の校内剣術大会には出るのか」


(あーそういう事ね……)


近々行われる、第四魔法学園内での剣術大会。

学年も男女も関係なく。魔法禁止で、とにかく剣の扱いが最も上手い者を決める大会らしく。

参加するかどうかは自由なので出るも出ないも自由なのだが。


「俺は出る、お前も出るんだ」


ミナトに出場を強制させようとしてるようだ。


「なんでお前の言う事聞かないといけないんだよ……」


「第一魔法学園ではベル・エレディータ以外にも、多くの者がお前と打ち合ったと聞いた。

その挑戦は受けるのに俺とは戦わないと言うのか」


なんだか面倒くさい彼女みたいな言い方だが、一応ミナトがあまり乗り気でなさそうなのには理由がある。


(それが開かれること自体は知ってるけど……丁度タイミングが今回の遠征と被ってるんだよな)


先日の諜報員数名が恐らく亡くなった事から、彼本人が現場に向かう事に決めており。

かなり距離が離れている為数日は学校を休む予定で。


その休んでいる間に大会が開催されるようなのだ。


(しかも聖魔祭は先生の後押しがあったりしたけど、流石にこれ以上学生の大会を荒らすのもちょっとだし……今回はな)


「悪いが俺は出ない、でも……「逃げるのか」


「……は?」


言葉を最後まで言い切る前にクロムが被せて言ってくる。


「あいつには勝てても、俺には勝てないかもしれないから逃げるのか。と言っているんだ」


誰でもわかるレベルの挑発。

明らかなんて話じゃない程だが、彼には効果覿面なのかもしれない。


「……ぇぞ」


「?」


「誰が逃げるだって!?ふざけんじゃねぇ!」


見事なまでに煽りに引っかかっている図。


「だが俺は出ない、つーか出れない。逃げる云々言うんだったら、今度お前ともちゃんと戦ってやるからその時証明してやるよ。

負けるなんて事ないってな」


引っかかって大声を出したりもしたが、直ぐに冷静に戻り話を続ける。


「でも俺の代わりにアイクが出る、先ずあいつに勝ってから俺に挑んできな」


「アイク……いつもお前と放課後特訓している奴か。

まぁいい、俺とも戦うというのなら言う事はない」


(つまり負けるなんて微塵も考えてない訳ね、そうかそうか……)


「言っとくが、アイクを舐めてたらお前でも痛い目見るぞ。強ぇからな」


「……心の内に留めておこう」


弟子を舐められている気がした事に若干腹が立ち、警告を出す。

勝手に出場するのが決まっているかのように言ってしまったのはよくないが。

どちらにしろ出場を勧める気では居たので、まぁよしとしよう。





______________________________________


クロムに話しかけられるなんて突発的なイベントもあったりしたが。

その後無事に酒場に到着し、マスターと情報を交え今後の方針を決定させる。


「話は聞いてると思うが、シンボロには俺が向かう。可能なら腕利きの者を数名同行させたいんだが」


「既に手配は終了してあります。明日出発となっても待たせるような事にはならないかと」


「流石だな、ご苦労」


「勿体なきお言葉」


留学先の街の構成員と話した内容は既に伝わっており。

それだけでなく手配まで済ませてある迅速ぶりだ。


「あと、俺が居ない間の指示系統や作戦は今回のと引き続き同じ体制で頼む」


「承知しました」


(よし、向こうに行く前に俺が済ませときゃならない用事はあと先生に相談しとく位か……)


頭の中で整理をつけ、長居するつもりもないのでそろそろ出ようと考え始めた頃。


「それと、もう一つご報告がございます」


まだ何かあったか、とその話を聞く事に。


「なんだ、話せ」


「はい。以前から調べていた人斬りライコウの件なのですが……」


「!」


久し振りに聞く名に少し驚く。


「聞かせろ、何があった」


魔族の方を優先しろと指示を出したので仕方ないのだが。

報告が全く上がってこないライコウの事もずっと気になっていた為、この話は気になって仕方がない様子。


そしてこれから聞いた内容で、ミナトはある事を確信し。決意する事となる。

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