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忘却の勇者  作者: くろむ
聖魔祭編
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第十四話 まぁ実質初対面…かな?

「じゃあ作戦通りに」


「了解!」


全員にスカーフが配られ、それぞれが配置につく。


「じゃあ、始め!!」


試合開始の合図と共にミナト、アイクが真っ先に駆け出す。


______________________________________________


「まず先に俺とアイクで先制攻撃を仕掛ける。それぞれ一枚ずつ相手からスカーフを奪って保険を作っておく、その後に全員で突撃する。フレアさんと護衛役の人は後方で着いてきて、離れすぎるとカバーが出来なくなるから。

正直これは個人の技量に頼る戦法だけど、障害物や他チームが存在しないこの状況だとこれ以外の作戦でも大して変わらないと思う」


「それもそうだな、正面からやって勝つしかねぇ!」


「二組の奴等にまけらんねぇからな!」


(よし、皆の士気も上がってる。後はぶつかるだけ)


「アイク、今回は俺とお前に懸かってる。とにかく相手から奪いまくるぞ」


「もちろん!やれるだけやって来るよ」


______________________________________________


「二人だけで突っ込んできた!」


「数の差で潰すんだ!」


(一人前に出てきてる奴がいるな。恐らくあいつも主力の一人!)


「アイク!正面一人先にやるぞ!」


そう言ってミナトが標的と真っ向から戦いを挑む。


「早速一枚頂こうかな」


「穏やかじゃないねぇ!」


(気付いてくれよ…)


二人の取り合いが始まり、二組の生徒がその周りを囲もうと動き出す。


{多分だけどこういう事じゃないかな!}


ミナトが作った一瞬の隙にアイクが飛び込み相手のスカーフを奪う。


「よく来てくれた」


「お膳立てして貰ったからね」


「それじゃあ引くぞ」


「させるわけねぇだろ!」


撤退しようとするミナトとアイクを逃がさせまいと二組が襲い掛かる。


「なっ、こいつ速いぞ!」


「クソ!こっちは一枚取られた!」


(一枚取ったら即退散!こんな人数相手にしてられるかよ!)


二人共上手く敵の間を抜けてゆき撤退に成功。


その間に本隊も到着。


「今度は俺らの番だー!」


「このまま押し込めー!」


(よし、いい感じに混戦になってきたな)


今のところ一組有利な状況で試合が進む。


「悪いそっち行った!」


(フレアさんの方に抜けたか。だがそっちには…)


「お前らの誰かが大将なんだろ?頂き!」


と突っ込んだ先には…。


「ってあっぶな!」


敵の進行を阻止する形でルチアの魔法が飛び出す。


「あ、ありがとうルチアさん」


「…別に」


(あっちはやっぱ大丈夫そうだな。固まってる方もアイクが上手く立ち回ってくれてるし、俺はあっち行くか)


そうしてミナトが向かった先は混戦から少し離れたところに居た彼の場所だった。


「初めましてだね、クロム君」


「…」


「一応名乗るとミナトだ。早速手合せ願おうか!」


ミナトとクロムの一騎打ちが始まる。


自身のスカーフを守りつつ相手のスカーフを奪う、言葉にすると実にシンプルだがその攻防には高度な駆け引きが必要とされる。


一連の流れが終わった後、少し距離を取ってからミナトが語りかける。


「っ、やっぱやるね君。お陰で確信したよ」


「…何をだ」


「お前が大将なんだろ?」


「…どうしてそう考えた」


「だってあれだけ団子の状態になって全員が戦ってるのに、そっちのチームは大将の心配をしてない様に見える。そうだろうな、自分達の大将が負ける訳ないと思っていたらその心配はしなくていい」


「…それだけで確定出来るものではないだろう。まだあるはずだ、確信できた理由が」


「…二組の奴らはまだ自分達が負けるとは思って無いように俺には見える。理由はさっきと同じだ、お前が居るから。お前さえ居れば何とかしてくれると思っている顔だ。

そして何よりお前自身も同じ事を思っているだろ?」


「…」


「何でそう思ったかって言いたげだな、何となくだよ。ただ俺が同じ立場ならそう考えると思っただけさ」


(そう、お前は自信に満ちている。それは自身の実力を正確に測れているからこそのものだ。

教えてるやる、世の中にはこんな奴もいるってな!)


そして二人の戦いは再び始まった。


周りの生徒等は援護しようなどとは思わなかった。


あの空間に自分達がついていけるのかと、そう思ったから。


「なぁ、あいつ何者なんだよ」


既に脱落した二組の生徒が一組の生徒に尋ねる。


「クロムさんについていけるなんて本当に一年か?」


「…俺は正直あいつがここまでとは思ってなかったよ」


「はぁ。世の中にはとんでもねぇ奴もいるんだな」


既にそこそこの生徒が脱落しており、残っているのは序盤の内にスカーフを取っておいた者達が多かった。


制限時間も近付く中、二人の戦いは激化していた。


端から見れば「ああ取られる!躱さないとってあれ逆に取ってる!、、じゃないこれも防いでる!もうどうなってんだよ!」というように映るだろう。


とにかく高次元な戦いが繰り広げられており、並の生徒では何が起こっているかすらいまいち理解できていない程だ。


(確実にこちらの攻撃を防いでくる!防御が崩せない、このままじゃ…)


あらゆる攻めを確実にいなしていくクロムにミナトは少し攻めあぐねていた。


そして決着が付かないまま…。


「そこまで!試合終了だ」


試合終了が告げられる。


(…こっちは残機があったからゴリ押せば勝つこと自体は出来たかもしれない…でもそれじゃ意味ないよな)


「ふー、、、負けたよ。次やる時は聖魔祭かな、そん時はまたよろしくね」


そう言ってミナトはクラスメイト等の方に向かった。


{あの男…ミナトと言ったか。覚えておいて損はないかもな}


ミケーレ枚数を確認した結果勝利したのは一組の方であったが、誰も勝敗事態にさほど興味を示していなかった


勿論勝てたから嬉しい、負けたから悔しい。それ位はあっただろうが今回の目的は互いを知る事。


今戦った相手が本番では味方であるという事、そして自分達の実力がどの程度のものだったか。


これらの事実を知り、来る聖魔祭に向けて更に備え、鍛えていく。


聖魔祭まで、あと二十日。

今日はスカーフの仕組みについて!

本当は今回で触れる予定だったんだけど、流石に尺がまずかったからまた今度になります。

だからここではあんまり説明はしません。

試合に使うスカーフは魔道具となっているので、色々と融通が効きます。

その融通は本番までには明かす予定なのでそれまでお待ち下さい。

今回は以上!



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