第十話 第一印象怖そうな人ほど良い人やったりすると思う
アイクとトロールによる選抜選手の座を懸けた模擬戦が始まった。
「それじゃあ行かせてもらうぞ」
そう言ってトロールが先に攻撃を仕掛ける展開に。
(あいつの強みはその体格から繰り出される高威力の斬撃。特異点だとかはまだ分かっていないが、この一組の中ではかなりの実力は持っていてるだろう。だが…)
次々と向かってくる攻撃を躱していくアイク。
{やっぱりどれも当たったら不味いな、、でもそんなのは想定通り}
今度はアイクが攻勢に出る。
得意の機動力を活かした高速攻撃を繰り出していく。
「おおやっぱり速いぞ!一気に流れが変わった!」
{クソ駄目だ!このままじゃ負ける!何か策を…!}
しかしそう考えるトロールに更に畳みかけるように攻めかかる。
{一気に終わらせる!この流れで!}
「そこまで、勝者アイク!」
そして相手の体制を立て直させないままアイクが押し切り試合終了。
「ふぅ…俺じゃ勝てねぇか。ありがとよ、正々堂々戦ってくれて」
「トロール君も強かったよ、団体戦では頼りにしてるからね」
そうして二人がまた握手を交わし、場はそのまま次の試合へと移っていった。
(やっぱりアイクの素質はピカ一だ!聖魔祭でもきっと勝ち進んでいける)
「前の試合も終わったみたいだし、次は僕達の番だね!」
「そうだな、ちゃっちゃと始めるか」
試合開始の合図で、ミナトとフラジオの模擬戦が始まる。
(多分だけどこいつの特異点は…)
フラジオの攻撃が始まり、先程と同じ様に挑戦者側が先に仕掛ける展開に。
「あいつの動きって何回見ても慣れないよな」
「な、本当にあいつは独特な剣してるよ」
通常では有り得ない体制で攻撃を振っていくフラジオ。
(この…関節の柔軟性が厄介だ!普通の人間には不可能な太刀筋!
本来なら止まる連撃が止まらない、体勢を崩しても強力な攻撃を繰り出してくる。
恐らくこれがこいつの特異点!だったら…!)
「剣すら抜かないなんて随分な余裕だねミナト君、このまま終わらせちゃうよ!」
「それは失礼したな、だが安心しろ。それもここまでだ」
そう言い剣を抜いたミナトは、何かを待っている様子だった。
(これじゃない、これも違う!これもこれも!)
「おい、あいつ何してるんだ」
「ん?ああ多分だけど…」
この試合を観戦していたトロールがアイクに問う。
「終わらせようとしてるんだよ」
(来た!)
ミナトが待っていたのは弾けるタイミング、防ぐだけでなく大きく相手の剣を振り払える攻撃を待っていたのだ。
そしてフラジオの剣を完璧に弾き返し、こちらの剣を首元へ向けて試合終了。
「僕も負けてしまったか…まぁこれもまた一つの経験になるのさ!」
「お、おぉそうしてくれ」
そうして二つの戦いが終わり、その後はいつも通りの授業に戻った。
しかしこの試合は他の生徒に実力を見せつける機会でもあった。
「やっぱ二人共強いな」
「だな、どうするよ」
「…まぁ悪いけど狙うしかないよ」
「…そうするのも一つの手だしな」
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ー放課後ー
「ねぇフレアさん」
「どうしたの?」
「俺と模擬戦しようよ」
「!」
{やっぱり私にも来た。受けなきゃいけないんだよね…うん、ちゃんと覚悟決めなくちゃ!)
「良いよ、じゃあ誰か先生を…」
「お、なんだお前ら選抜のあれか?」
{!ウォーデン先生、三年生の担任だったはずなのに何でここに?今日は魔法座学も無かったし、それにもう授業なんて時間じゃ…}
「先生も来てちょうど良かった、じゃやろっか」
{…ううん、今はそんなこと気にしてちゃ勝てないよね}
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ー翌日ー
「…どうした?お前。そんな落ち込んで」
「一番情けないことした」
「!もしかして負けたのか?」
「一発も当たらなかった…」
「はへー。やっぱり選抜選手ってのは凄いのね」
今日は最後に出てきたウォーデン先生について!
ちょっと作中の文だと中々分かり辛いことになってて申し訳ないけど、六話で魔眼の授業してた先生です。
まぁここであんまりガッツリキャラ紹介!ってのも違う気がするから今回はこの説明くらいにしとこうかな。
今回は以上!