ギネア
それからはトントン拍子に進んだ。
ありがたいことに、ホイールさん夫妻とその子供達に村人達を連れてきてくれた。
その間に僕は一度ツリー村に戻り、悲しそうな顔をしているシムルグさんに、今余っているポイントの許される範囲でエレメントフルーツの生る木を提供して機嫌を直してもらい。
今僕の目の前には、ホイールさんがいる。
後ろにはアイラにナージャ、そして僕らを信じてついてきてくれた人達が。
待たせてごめん。
でもこれでようやく……安住の場所を提供してあげることができる。
「シムルグが何を聞いたかは知らねぇけどよ、俺が聞くのはたった一つ。ウッディ殿――いやウッディ、お前に皆を幸せにする覚悟はあるのよ?」
その問いに対する答えは?
そんなの、決まってる。
「――もちろんです?僕はここで暮らすことになる村人達全員を幸せにしてみせます!」
「――よしっ、ウッディ、今抱いている気持ちを、いつだって忘れるんじゃねぇのよ!」
そう言うと、ホイールさんが飛び上がり、そのまま四つ足で思い切り地面を叩いた。
すると――ぶわん、ばっ!
シムルグさんがしたのと同じように、光が周囲へと拡がっていく。
けれど、そこからが違った。
ぼこん、ぼこぼこっ!
まずは草木が生えてきた。
砂粒は消えていき、赤っぽい色をした土へと変わっていく。
シムルグさんの時と比べれば、聖域から新たに生えてくるのは大した量ではなかった。
農作物の収穫高だけで言えば、ツリー村の方が多いだろう。
けれどそれだけでは終わらない。
次にオアシスが生まれ、それは更に大きくなり、湖へと変わる。
そして大地が大きく陥没していき、穴ができた。
更に離れたところでは、土が大きく隆起して山ができた。
すごい……一瞬で、砂漠とは思えない光景ができた。
シムルグさんの時は住みよい街って感じだったけど、こっちはどちらかというと鉱山街のような感じだ。
鉄が錆びたような匂いがするし、もしかしたら鉄鉱石が取れたりするのかも。
これがホイールさんが作り出した――聖域か。
「俺の子供達に託せるような、百年二百年って続く、すんげぇ街を作ってくれると助かるのよ! あ、そう言えば名前は決めてるのよ?」
「はい、ここは今日から――ギネアです!」
こうしてホイールさんが守護神獣となる、新たな聖域が無事誕生した。
その名前はギネア。
まだまだ規模は村程度なので、街になるにはまだまだ時間がかかりそうだけど――ツリー村の時とおんなじだ。
家を追い出されても、砂賊に襲われても、あんなに強い魔物がいても、なんとかなったんだ。
だから大丈夫。
皆の力を合わせればきっと……いや絶対に、どんな困難だって、乗り越えられるはずだから。
だから一歩一歩、進んでいこう――。
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