名前
コアを破壊されたタイクーンウルフの身体が、地面に落ちていく。
地響きを立てて倒れた身体は、今度こそ完全に動きを止めていた。
「勝っ、た……?」
残っていたウッドゴーレム達の動きが止まる。
アイラが僕の方を見る。
そしてナージャが、ガッツポーズを高く頭上に掲げる。
それでようやく、どこか実感のなかった現実に、心が追いついてくる。
そうか……僕らは、勝てたんだ。
アイラとナージャが近付いてくる。
僕らは気付けば、三人で抱き合っていた。
強敵だった。ナージャ一人じゃ倒せないほどの相手だったのだ。
僕が時間を稼ぎ、アイラが動きを止め、ナージャが全力の一撃を放つことでようやく倒せた難敵だ。
ポイントの残量を見る。
もう残り54ポイントしか残っていない。
でもそんなこと、どうだっていいよね。
ポイントはこれからまた稼げばいい。
「いやぁ、いい出し物を見た気分なのよな」
僕らが勝利の喜びを分かち合っていると、ホイールさんがやってきた。
出し物って……まあ神獣様的にはそう見えるのかもしれませんが。
結構必死だったんですよ、僕ら。
「す……すごかったですわ……」
お嬢様モルモットの方は、目をキラキラと輝かせ、ちっちゃい両手を組みながらこちらを見上げていた。
かわいい……餌をあげようと、思わず収穫袋を使いそうになってしまった。
――あ、そうだ。
「君の名前を、教えてほしい?」
「わ、私の名前?」
こくこくと頷く。
ずっと前から気になってたからね。
折角の機会だし、良いタイミングかなと思って。
「レベッカ……私は、レベッカと申します」
「そっか、良い名前だね」
「あ、ありがとうございます……」
なぜか顔を俯かせるお嬢様モルモットことレベッカ。
不思議に思いながら近付こうとすると……痛たっ!?
両脇から鋭い痛みがっ!?
「ウッディ様……今度は神獣様をたらし込んだんですか……」
「そこは流石にノーマークだったな……まさかウッディのストライクゾーンがそこまで広いとは…………婚約者は私なのに……ぶつぶつ……」
急に不機嫌になった二人をなだめていると、ホイールさんがくんくんと地面に鼻を擦りつけ始めた。
そして少し離れた、タイクーンウルフが眠っていたあたりまでいくとコクリと頷き、仁王立ちになった。
「よし……このあたりなら聖域が作れるのよ! ちゃちゃっと済ませたいから、村人達を呼んで欲しいのよな!」
最後はなんだかしまらない感じで終わっちゃったけど……なんにせよこれで準備は完全に整った。
よし、これで……聖域が作れるぞっ!
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